お水送り|若狭・神宮寺の松明行列と日程【福井】
福井県小浜市。若狭湾に面したこの町の山あいにある神宮寺で、毎年3月2日にお水送りという神事が営まれます。奈良の東大寺二月堂で3月12日に行われるお水取りに先立ち、若狭から二月堂の若狭井へ水を送るという行事です。日が落ちてから始まる松明行列は神宮寺から鵜の瀬まで約2キロ。冬の名残の闇のなかを、無数の炎が列をなして進みます。若狭に春を告げる火の神事です。
闇を裂いて進む松明の列
夕方、神宮寺の境内には手松明を持った人々が集まります。参加者は松明に願い事を書き、行が終わるのを静かに待ちます。堂内で行われる達陀の行では大きな松明が振り回され、火の粉が舞い、堂の壁が赤く照らされます。続いて本堂前で大護摩がたかれ、その火が手松明へ次々と移されていきます。松明の列が動き出すと、杉木立に囲まれた参道は炎の帯になり、松脂の匂いと火のはぜる音が夜気を満たします。頬に伝わる熱と、背中に残る山あいの冷気。この落差こそが、お水送りの体感です。手にした松明はずしりと重く、火が移った瞬間から腕にじわりと熱が伝わってきます。願い事を書いた自分の松明が、やがて数百の火のひとつになって列に加わる。見物する祭りではなく、加わる祭りだということが、そこで初めて実感されます。
鵜の瀬での送水神事
行列がめざすのは、遠敷川の上流にある鵜の瀬という淵です。約2キロの道のりの途中には松明が立てられていて、自分の火が消えてもそこからもらい火ができます。鵜の瀬に着くと川べりに大護摩が組まれ、僧侶が祝詞を読み上げたのち、竹筒の水が川へ注がれます。この水が10日をかけて地下を流れ、3月12日に奈良の若狭井へ届くと伝えられています。神事が終わるのは夜9時ごろ。炎が引いたあとの川面の静けさが、いっそう印象に残ります。行列は歩く速度で進むため、前を行く松明の列が谷筋に沿って曲がっていくのを、後方からずっと目で追うことができます。数百の火が一本の線になって山あいを進む光景は、この行事でしか見られないものです。
1300年前の約束
由来は東大寺の創建期にさかのぼります。実忠和尚が世の安寧を祈る行法を始めたとき、若狭の遠敷明神が漁に出ていて遅れて参列し、そのお詫びとして観音へ供える水を若狭から送ると約束したといいます。すると二月堂の下から白と黒の2羽の鵜が飛び出し、そこに泉が湧いた。これが若狭井であり、鵜の瀬という地名の由来でもあります。奈良と若狭を結ぶこの約束が、およそ1300年にわたって毎年3月2日に繰り返されてきました。若狭は古代に朝廷へ海産物を納めた御食国であり、都と結ぶ道が幾筋も通っていた土地です。水を送るという発想そのものが、この地域と奈良の深いつながりを物語っています。若狭の歴史は小浜市の観光ガイドもあわせてどうぞ。
楽しみ方のコツ
手松明を奉納すれば行列に参加できます。奉納料は1本2,500円で、若狭おばま観光案内所への電話予約が必要。支払いは当日の現金のみです。当日は18時ごろに神宮寺で松明を受け取ります。3月初旬の山あいの夜はかなり冷え込むので、厚手の上着と手袋、歩きやすい靴を。行列では火の粉が飛ぶため、穴があいても惜しくない服装が公式にすすめられています。見学だけの場合も、鵜の瀬までの道は照明が乏しいので足元を照らすものがあると安心です。行列と神事を最後まで見届けると解散は夜9時を回ります。帰りのシャトルバスの時刻を先に押さえたうえで、当日の宿を小浜市内に取っておくと無理がありません。
アクセス
JR小浜駅から神宮寺までは有料シャトルバスが運行されます。往路は小浜駅発が1,000円、嶺南振興局発が500円。復路は鵜の瀬近くのポケットパークから21時30分以降に出ます。神宮寺に一般向けの駐車場はないため、公共交通とシャトルバスの利用が前提となります。
祭りの実用情報
- 開催時期:毎年3月2日
- 会場:神宮寺および鵜の瀬(福井県小浜市神宮寺)
- 主催・問い合わせ:若狭おばま観光案内所(電話0770-52-3844)/神宮寺(電話0770-56-1911)
- アクセス:JR小浜駅からシャトルバス。往路は小浜駅発1,000円、嶺南振興局発500円
- 駐車場:専用駐車場はありません
- 手松明:1本2,500円。事前予約制、当日現金払いのみ
- 公式サイト:https://wakasa-obama.jp/special/wakasa-omizuokuri/
※日程・内容・料金は変更される場合があります。おでかけ前に公式サイトで最新情報をご確認ください。
(出典:まるっとおばま(小浜市公式観光サイト)、ふくいドットコム(福井県公式観光サイト))
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