出雲大社・神在祭|全国の神々が集まる神秘の祭り
島根県出雲市の出雲大社で行われる「神在祭(かみありさい)」は、旧暦10月11日〜17日の7日間にわたって行われる重要な神事です(前夜の旧暦10月10日に神迎神事・神迎祭が行われます)。新暦では年により11月上旬〜12月上旬と大きく変動し、2026年は11月18日の神迎祭に始まり、11月25日の神等去出祭までとなります。日本では旧暦10月を「神無月(かんなづき)」と呼びますが、出雲だけは「神在月(かみありつき)」と呼びます。
神迎え神事と稲佐の浜
神在祭の始まりとなる「神迎え神事」は旧暦10月10日の夜に行われます。出雲大社から約1キロの「稲佐の浜」に、全国から集まった神々を迎えるための神事が営まれ、松明の光と厳粛な雰囲気の中で神々が上陸します。この儀式は一般の参拝者も遠目から拝観することができます。
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縁結びの会議「神議り」
神々が出雲に集まる目的は「神議り(かみはかり)」——縁結びをはじめとする人々のさまざまな縁を議する会議を行うためと伝わっています。縁結びとは男女の縁だけでなく、仕事・友人・家族など人生のあらゆる縁を指します。
御祭神・大国主大神と「むすび」の信仰
神在祭を理解する鍵は、出雲大社の御祭神である大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)にあります。出雲大社公式サイトによれば、大国主大神は広く「だいこくさま」として慕われ、遠い神代の昔、人々とともに国土を開拓した“国づくり”の大業を成し遂げた神。その最中に、農耕・漁業・殖産から医薬の道まで、人が生きていくうえで必要なさまざまな知恵を授けたと伝えられます。
国づくりを終えた大神は、築いた国を天照大御神へお還し(国土奉還=国譲り)になりました。そして天照大御神の言葉により、目に見える世界の政治は天照大御神の子孫が、大国主大神は目に見えない世界を司り、そこにはたらく「むすび」の御霊力によって人々の幸福を導く役割を担うことになった——これが出雲大社御鎮座の由来です。公式サイトは「この“縁”は男女の縁だけではなく、生きとし生けるものが共に豊かに栄えていくための貴い結びつき」と説明しています。神々が出雲に集まって縁を議するという神在祭の物語は、この信仰の延長線上にあるのです。
「雲太、和二、京三」——巨大神殿の伝承
参拝の前に知っておくと、境内の見え方が変わる話があります。出雲大社の伝えによれば、古くは御社殿の高さは32丈(約96メートル)、その後も16丈(約48メートル)あったとされます。平安時代、藤原摂関家の家庭教師であった源為憲が著した『口遊(くちずさみ)』という教科書には、当時の巨大建造物の順位が「雲太・和二・京三」と記されています。「雲太」とは“出雲太郎”の略で出雲大社の神殿のこと。つまり、大和二郎=東大寺大仏殿よりも大きかったと明記されているのです。
宮司家である千家家には、3本の材木を合わせて1本の柱をつくり、それを金輪で束ねる構造を描いた「金輪御造営差図(かなわごぞうえいさしず)」が伝わっていました。そして平成12年春、拝殿北側の地下工事中に、直径約135センチの杉の巨木3本を束ねた巨大な御柱が実際に出土。差図に描かれたとおりの姿でした。『古事記』(712年)・『日本書紀』(720年)には御屋根の千木がたなびく雲を貫くほどであったと記され、『出雲国風土記』(733年)にも、多くの神々が集って大神の住まいを築いたことが地名「キヅキ(杵築)」の起源として語られています。神々が集うという言い伝えは、社伝の最も古い層にまでさかのぼるものなのです。
五社をめぐる「神在社巡拝」
神在祭の期間中、神々を迎えるのは出雲大社だけではありません。出雲大社公式サイトは、旧暦出雲の〝神在社〟として出雲大社・日御碕神社・朝山神社・万九千神社・熊野大社の五社を挙げ、旧暦神在月(10月)中に五社へ巡拝帳とスタンプを設置すると案内しています(設置期間は年により変動。例年、新暦では11月下旬から12月中旬にあたります)。
神々がそれぞれの社に立ち寄り、最後に万九千神社から旅立っていく——という物語をなぞるように歩けるのが、この時期ならではの楽しみ方です。各社は日程をずらして神在祭を行うため、出雲大社が混み合う日にほかの社を訪ねる、という回り方もできます。移動には車が便利ですが、日没後の神事が多いため、明るいうちに下見をしておくと安心です。
神在祭中の禁忌と静けさ
神在祭の期間中、出雲大社周辺では「騒いではいけない」「大きな音を立てない」という慣習が伝わっています。神々が滞在している間は静粛にして、神々の議事を妨げないようにするためです。
参拝のコツ
この時期は全国から多くの参拝者が訪れます。神々が宿泊する「十九社(じゅうくしゃ)」も特別な見どころ。二礼四拍手一礼の作法で参拝し、良縁を願うなら本殿背後の素鵞社にも足を運びましょう。
アクセス
一畑電車「出雲大社前駅」から徒歩5分。JR出雲市駅からバスで約30分。
訪問の実用情報(2026年)
- 開催日:2026年11月18日(水)〜11月25日(水)。加えて12月4日(金)に第二神等去出祭(一般非公開)が行われます
- タイムテーブル
- 11/18(水)19:00 神迎神事・神迎祭(稲佐の浜 → 出雲大社拝殿)
- 11/19(木)9:00 神在祭(出雲大社御本殿)。同日11:00 出雲大社教龍蛇神講大祭
- 11/23(月・祝)10:00 神在祭・縁結大祭(献穀祭も同時刻)。19:00 古伝新嘗祭
- 11/25(水)10:00 神在祭・縁結大祭、16:00 神等去出祭(拝殿)
- 会場:出雲大社(〒699-0701 島根県出雲市大社町杵築東195)、稲佐の浜(神迎神事)
- 観覧席:公式に「観光イベントではありませんので、観客席等はございません」と案内されています。参拝は無料です
- 参拝時間:6:00〜19:00(時間外は銅鳥居前で参拝)。素鵞社の参拝は6:00〜16:30、御祈祷は9:15〜16:30(受付8:40〜16:00)。神在祭期間中も境内の参拝は可能です
- 神迎神事のマナー:稲佐の浜には神様の通り道に菰(コモ)が敷かれており、その上を歩かないよう求められています。神事中のフラッシュ撮影も控えてください。2024年より稲佐の浜斎場での参列と出雲大社への供奉(おとも)が再開され、白御幣の授与も再開されています
- 御神幸路の変更:安全確保のため、稲佐の浜から出雲大社への御神幸路が変更されています(稲佐の浜交差点を左折 → 国道431号線 → 宮内交差点を左折)
- 周辺の神社:日御碕神社・朝山神社・万九千神社・佐太神社・熊野大社・神魂神社・多賀神社・賣豆紀神社でも、それぞれ日程を変えて神在祭が行われます
※最寄り駅からの所要時間、駐車場、交通規制、屋台・露店、トイレについては公式で公表されていません。
(出典:出雲大社 公式サイト(令和8年 祭日表)、しまね観光ナビ(島根県観光連盟))
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