増富温泉|山梨県の秘湯・放射能泉の魅力
山梨県北杜市(ほくとし)の山あいに湧く増富温泉(ますとみおんせん)は、ラジウムを含む「ぬる湯」で知られる湯治場です。源泉温度は30度前後と体温より低く、熱い湯にさっと浸かるのではなく、ぬるい湯に15〜30分かけて身を沈めるのがこの土地の作法。1965年に国民保養温泉地に指定され、渓谷沿いに宿が点在する静かな環境が今も残っています。
信玄の隠し湯から国民保養温泉地へ
増富温泉には、戦国時代に武田信玄が金山の開発中に見つけた「隠し湯」だという伝承が残ります。ラジウム温泉として広く知られるようになったのは明治以降のことで、効能を求めて長期滞在する湯治客が集まる温泉地になりました。高浜虚子、井伏鱒二、中山義秀、田中冬二といった文人・画人が訪れたことでも知られています。
1965年8月5日、増富温泉は国民保養温泉地に指定されました。泉質や湧出量だけでなく、療養に適した環境が保たれているかどうかで選ばれる制度です。日本温泉協会の公表情報によると、増富温泉地の宿泊施設は9軒、温泉地全体の収容力は560人。歓楽的な要素がほとんどない代わりに静けさと自然が残っているのは、この温泉地の性格をよく表しています。
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湯づかいと泉質を知っておく
泉質は放射能泉に分類され、含二酸化炭素・ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉としても紹介されます。ラジウム含有量は1リットルあたり12,300マッヘという記録が伝えられ、日本でも有数の高濃度とされる温泉です。
ただ、この温泉でいちばん大切なのは温度のほうです。源泉は30度近辺のぬる湯なので、湯船に入った直後は誰でも「ぬるい」と感じます。ここで上がってしまうと増富の湯は味わえません。15〜30分かけてゆっくり浸かり、体の内側から温まってくるのを待つ——これが増富流の入り方です。かつて日帰り施設「増富の湯」では25度・30度・35度・37度と温度の違う源泉浴槽を用意し、低いほうから順に体を慣らしていく入浴が案内されていました。長湯になるぶん、水分補給と湯冷め対策は欠かせません。
日帰り入浴の現状を確認してから出かける
温泉街にあった日帰り入浴施設「増富の湯」は、2023年4月1日から休業しています。北杜市の発表によると、専門業者の調査で浴室天井が落下する危険性が指摘され、柱や梁の腐食も進んでいたことから、市は改修ではなく建て直す方針を決めました。再開は2026年中を目指すとされていますが、具体的な日程はまだ公表されていません。
そのため、いま日帰りで湯を味わうなら旅館の立ち寄り湯が中心になります。天然岩風呂で知られる不老閣では、12時30分〜14時の間、1回1時間までの日帰り入浴を1名1,000円で受け付けています(毎週火曜と館の休館日を除く)。受け入れの可否や時間は宿ごとに異なり、変更もあるため、出発前の電話確認が確実です。
訪問の実用情報
- 所在地:山梨県北杜市須玉町比志・小尾ほか(渓谷沿いに宿が点在)
- 日帰り入浴:日帰り施設「増富の湯」は2023年4月から休業中(建て直しのため)。日帰りは旅館の立ち寄り湯を利用する
- 不老閣の日帰り入浴:12:30〜14:00、1回1時間まで、1名1,000円。毎週火曜と館の休館日は利用不可
- 泉質:ラジウムを含む放射能泉。源泉温度は30度前後のぬる湯
- 入浴時間の目安:15〜30分の長湯が基本。着替えを含めて1時間ほど見ておくと余裕がある
- アクセス(電車・バス):JR中央本線・韮崎駅から山交タウンコーチのバスで約60分
- アクセス(車):中央自動車道・須玉ICから県道経由で約30〜40分。山道が続くため、夕方以降や冬期の運転は余裕をもって
- 滞在の目安:日帰りなら半日。ぬる湯の長湯を本来の形で味わうなら一泊がおすすめ
- 雨天時:入浴が主目的なので雨でも支障はない。ただし山道の運転と、周辺の登山・渓谷散策は天候に左右される
- 服装・持ち物:長湯で汗をかくので飲み物を用意。湯上がりは冷えやすいため羽織るものがあると安心
- 予算の目安:日帰り入浴は1,000円前後。宿泊は自炊の湯治プランから旅館プランまで幅がある
- 周辺:日本百名山の瑞牆山(みずがきやま)、みずがき山自然公園、みずがき湖(塩川ダム)。瑞牆山・金峰山(きんぷさん)の登山と組み合わせる人も多い
- ベビーカー・車椅子:山あいの傾斜地に宿が建ち、設備は宿ごとに異なる。必要な場合は事前に各宿へ確認を
📚 情報の参照元
「増富の湯」の休業理由と建て直しの方針、再開の見通しは北杜市公式サイトの案内、車・バスでのアクセスは北杜市公式サイトの観光ページによります。日帰り入浴の時間・料金は不老閣の公式サイトの案内をもとにしています。国民保養温泉地の指定と宿泊施設数・収容力は日本温泉協会の公表情報を参照しました。営業時間・料金・受け入れ状況は変更されることがあるため、おでかけ前に公式情報でご確認ください。
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