和歌山県・紀州梅|日本一の産地みなべで楽しむ梅ガイド
和歌山県は、うめの収穫量が全国第1位の梅の産地です。なかでもみなべ町から田辺市(たなべし)にかけての地域は、最高級ブランド「紀州南高梅(きしゅうなんこううめ)」のふるさと。春には一面に広がる梅林が白い花で埋め尽くされ、初夏には香り高い実りの季節を迎えます。梅の花の絶景から梅製品まで、梅づくしの魅力を堪能できます。
紀州梅とは
和歌山県日高郡みなべ町から田辺市にかけての地域は、みなべ町公式サイトが「日本一のうめのまち」と表現する、国内有数の梅産地です。なかでも「南高梅」は、果肉が厚くやわらかで、種が小さいのが特徴の最高級ブランド。「南高梅」は昭和25年からの品種統一調査で最優良品種に選ばれ、南部高等学校園芸科の功績にちなんで命名されました。長い歴史のなかで育まれた、和歌山が誇る特産品です。
一面の梅林
春が近づくと、みなべ町の「南部梅林(みなべばいりん)」をはじめとする梅林が、いっせいに白い花を咲かせます。「一目百万、香り十里」と称される広大な梅林は圧巻で、山の斜面を埋め尽くす梅の花と、漂う甘い香りに包まれます。なだらかな丘に白い花が広がる風景は、まさに春の絶景。梅の花見を楽しむ観光客で賑わう、和歌山ならではの名所です。
梅づくりと梅製品
みなべ・田辺地域では、梅と備長炭(びんちょうたん)を中心とした農業システムが、世界農業遺産にも認定されています。初夏の収穫期には、梅の実をもぐ作業が各地で行われます。定番の梅干しはもちろん、梅酒や梅ジュース、梅を使ったお菓子など、梅製品はバラエティ豊か。梅干し作りや梅もぎの体験ができる施設もあり、梅の奥深い世界にふれられます。
400年続く「梅システム」
みなべ・田辺地域の梅づくりは、単なる果樹栽培ではありません。世界農業遺産「みなべ・田辺の梅システム」公式サイトによれば、これは養分に乏しく礫質で崩れやすい斜面を利用し、薪炭林を残しつつ梅林を配置することで、400年にわたり高品質な梅を持続的に生産してきた農業システムです。斜面上部にウバメガシなどの薪炭林を残すことで山を守り、その薪炭林からは紀州備長炭が生まれる——梅と炭が支え合う独特のしくみが、この地域の景観そのものをつくってきました。2015年12月に国連食糧農業機関(FAO)から世界農業遺産に認定され、2025年10月17日には認定10周年の記念式典が開かれています。
梅林の風景を眺めるとき、山の上のほうに濃い緑の帯が残っているのに気づいたら、それが薪炭林。白い花の海と、その上に横たわる常緑の帯というこの重なりこそ、400年の知恵が形になったものです。
撮影のコツ
一面の白梅は、カメラが「明るすぎる」と判断して暗く写りがちです。露出補正をプラス側に振ると、記憶どおりの白さに近づきます。
- 🕐 時間帯:朝の斜光がおすすめ。花びらの薄さが透けて、白がやわらかく発色します。逆に真昼の直射光はコントラストが強すぎて白飛びしやすい
- 📸 構図:南部梅林は坂道を登りながら観梅する形式なので、高い位置から斜面をとらえる俯瞰が撮りやすい。手前に一枝の花をぼかして入れると奥行きが出ます
- 🌤 天気:青空の日は空を広く入れて白と青のコントラストを。曇天なら花のディテールが出やすく、これはこれで上品な一枚に
- ⚠️ 注意:梅林の大半は生産農家の園地です。枝を引き寄せて撮る、私有地に入るといった行為は厳禁。通路の端から撮影しましょう
四季それぞれの表情と立ち寄りスポット
梅の花が終わっても、みなべには季節ごとの見どころがあります。
- 春:島ノ瀬ダム周辺には約500本のソメイヨシノが咲き、開花にあわせて地元有志の協力でこいのぼりが揚げられます(専用駐車場がないため、満開時期の土日は大変混雑します。路上駐車は控えてください)
- 初夏:6月頃が梅の実の収穫期。梅もぎや梅干し作りの体験ができる施設もあります
- 夏:8月1日には南部湾で「鹿島神社奉納花火祭」(20時〜21時)。起源は宝永5年(1708年)、前年の宝永の大地震による津波の際に沖合の鹿島が波を二つに分けてみなべの郷を守ったとされ、その神恩感謝として翌年から村人が花火を奉納したことに始まると伝わります
- 秋:10月第3日曜には鹿島神社の秋祭り。「埴田の神輿」、獅子舞、町無形民俗文化財の「南道の奴行列」(3年に1度参加)、「芝崎のふとん太鼓」などが祭礼に加わります
梅林とあわせて訪ねたいのが、うめ振興館(みなべ町/入館無料・TEL 0739-74-3663)。1階の歴史ゾーンでは梅と旧南部川村の歩みを、2階の梅資料ゾーンでは梅林の大型パノラマ模型などを展示し、3階の「梅の駅みなべ川村」では町の物産を購入できます。梅を支えるもう一方の主役を知るなら、紀州備長炭振興館(みなべ町清川1267/8時30分〜17時、土曜休、入館無料、駐車場50台無料)へ。紀州備長炭は平安時代からの歴史があり、みなべ町は生産量で日本トップクラスを誇ります。
海沿いに足を伸ばすなら、長さ1.3kmの砂浜が続く千里の浜。熊野古道紀伊路のなかで唯一、白砂青松の浜そのものを歩く区間で、かつて熊野詣での旅人たちも海の広さに目をみはったと伝えられる場所です。沖合の島に鎮座する鹿島神社の鹿島大明神は、奈良時代以前に常陸国(茨城県)の鹿島神宮から勧請したと伝わり、島全体が信仰の対象とされてきました。
ベストシーズンとアクセス
南部梅林の開園は例年1月下旬から3月上旬まで(開花状況により変動)。実の収穫は6月頃です。花見なら早春に訪れるのがおすすめです。アクセスはJRきのくに線の南部(みなべ)駅などが拠点。梅林へはバスや車で向かいます。白浜温泉(しらはまおんせん)や熊野の観光とあわせて、日本一の梅の里で、梅づくしの旅を楽しんでみてください。
訪問の実用情報
- 見頃・ベストシーズン:梅の花は例年1月下旬〜3月上旬。南部梅林(梅の里観梅協会)は2026年は1月31日〜3月1日に開園し、2月下旬には「終盤(なごり梅)」となりました。開花状況により開園・閉園時期は毎年変動します。梅の実の収穫は6月頃です。
- 開催期間/運行期間:南部梅林は例年1月下旬より開園(公式発表では2027年は1月末より開園予定)。開園時間は8:00〜17:00。
- 料金:入場料 大人(高校生以上)500円/小人(小・中学生)200円。
- アクセス:みなべICから下って車で約6分。公共交通は龍神バスを利用。満開時は混雑が予想されるため、公式サイトでも公共交通機関の利用が推奨されています。
- 駐車場:1日あたり 自動車500円/マイクロバス1,500円/大型バス2,000円。観光バスは晩稲(おしね)公園横の観光バス専用駐車場(みなべ町晩稲1235-1・要予約)へ。開園期間中、みかへり坂は観光車両進入禁止のため、近隣駐車場に停めて徒歩で入園します。
- 服装・装備:園内は坂道を歩いて観梅する形式で、車で園内を回ることはできません。公式サイトも運動靴や動きやすい服装をすすめています。早春の山あいは冷え込むので防寒着を。
※梅林の大半は生産農家の園地です。実や枝を採らない、私有地に立ち入らない、農作業車の通行を妨げないなど農園のマナーを守ってください。閉園後の園内は住民および農業車両が行き交い、事務所スタッフも不在となるため立ち入りには注意が必要です。 ※ペット(犬)同伴での入園が可能です。
(出典:梅の里観梅協会「南部梅林」公式サイト/みなべ町公式サイト「みなべ町の特産物」「みなべ町の農業」)
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