ファーム富田のラベンダー|中富良野で楽しむ北海道夏の絶景
北海道空知郡中富良野町にあるファーム富田は、1903年(明治36年)の開拓に始まり、1958年(昭和33年)から本格的にラベンダー栽培を続けてきた、日本で最も歴史のある観光ラベンダー園です。7月の満開時には色とりどりの花畑が丘一面に広がり、紫のラベンダーをはじめ、色のグラデーションが帯のように連なる「彩りの畑」が訪れる人を魅了します。十勝岳連峰を背景にした花畑の風景は、北海道の夏を象徴する絶景として広く知られています。
ラベンダー栽培の先駆け
ファーム富田は、北海道のラベンダー栽培の歴史とともに歩んできた農場です。かつて香料の原料として盛んに栽培されたラベンダーは、輸入香料におされて一時は危機を迎えました。それでも富田家が栽培を守り続け、1976年(昭和51年)にラベンダー畑が国鉄のカレンダーで紹介されたことをきっかけに、全国にその美しさが知られるようになりました。一度は廃れかけた花畑が、今や北海道有数の観光地として輝いています。
公式サイトの年表をたどると、その道のりの険しさが伝わってきます。中富良野でラベンダー栽培が始まったのは1952年(昭和27年)。富田忠雄さんが21歳の夏に先駆者・上田美一さんのラベンダー畑と出会い、1958年(昭和33年)に妻・幸子さんと10アールの畑から本格的な栽培を始めました。この最初の畑が、いまも園内に残る「トラディショナルラベンダー畑」です。栽培は1970年(昭和45年)にピークを迎え、富良野地方全体で230ヘクタール以上・約250戸の農家がラベンダーを手がけ、北海道のラベンダーオイル生産量は5トンに達しました。
しかし合成香料の進歩と安価な輸入香料の台頭で買い上げ価格は下落し、1973年(昭和48年)には香料会社が買い上げを中止。富良野の丘からラベンダーはほとんど姿を消しました。転機となったのが1976年の国鉄カレンダーです。訪れ始めた旅行者からポプリやサシエ(匂い袋)の作り方を習い、1977年(昭和52年)に玄関先での販売を開始。1980年(昭和55年)には独自の蒸留でオイル抽出に成功し、1984年(昭和59年)にオリジナル香水「フラノ」を世に送り出しました。1990年(平成2年)には南フランスのラベンダー生産者組織から「オートプロヴァンス・ラベンダー修道騎士」の称号を授与され、同時に開かれた品評会でエッセンシャルオイル「おかむらさき」が第1位を獲得。2022年(令和4年)には「ラベンダーコマンダー(司令官)」の称号も贈られています。
季節ごとに表情を変える花畑
ファーム富田の魅力は、ラベンダーだけにとどまりません。「彩りの畑」では、ラベンダー・ポピー・カスミソウなど七色の花々が丘の斜面に帯状に植えられ、虹のような縞模様を描きます。早咲き・遅咲きのラベンダー畑をはじめ、季節を通じてさまざまな花が咲き継ぐよう工夫されており、訪れる時期によって異なる景色を楽しめます。香りに包まれながら花畑を歩く時間は格別です。
園内には「花人の畑」「倖の畑」「トラディショナルラベンダー畑」「春の彩りの畑」「秋の彩りの畑」「森の彩りの畑」「山の彩りの畑」「遅咲きラバンジン畑」「白樺の森」など十以上の花畑が点在し、名前を手がかりに歩くだけでも変化に富んだ景色に出会えます。1999年(平成11年)には冬期間のラベンダー開花に成功しており、温室の「グリーンハウス」では季節を問わずラベンダーの花を見ることができます。
花畑のあいだには「花人の舎」「香水の舎」「ポプリの舎」「ドライフラワーの舎」「蒸留の舎」といった建物が並び、加工の工程や商品づくりにふれられます。2003年(平成15年)に開いた「ドライフラワーの舎」は世界各国の花材で彩られた空間。2021年(令和3年)には花人の舎2階に「香りの体験室」が、2024年(令和6年)には同じ2階に「日本のラベンダーとファーム富田の歴史資料室」がオープンし、雨の日でも見どころが尽きません。
ラベンダーグルメとおみやげ
園内には、ラベンダーをテーマにしたカフェやショップが充実しています。鮮やかな紫色の「ラベンダーソフトクリーム」は、ほのかな香りが楽しめる名物で、暑い夏にぴったりです。蒸留施設ではラベンダーから精油を抽出する様子を見学でき、ポプリやオイル、ドライフラワーなどのおみやげも手に入ります。花畑を眺めながら味わうメロンや乳製品も、北海道らしい楽しみのひとつです。
ベストシーズンとアクセス
ラベンダーの開花期は例年7月から8月中旬ごろで、この時期が一年で最もにぎわいます(開花状況は年により前後します)。アクセスはJR富良野線・ラベンダー畑駅(夏季のみの臨時駅)から徒歩約7分。通年営業のJR中富良野駅からは約2.0km、徒歩約25分・車約5分です。車の場合は旭川や富良野市街から国道237号沿いに向かいます。最盛期は周辺道路が混雑するため、午前中の早い時間の訪問がおすすめ。広い園内を歩くので、歩きやすい靴と日よけ対策をして出かけましょう。
ファーム富田は年中無休で営業しており、花のない季節にも訪れることができます。バスを使うなら最寄りは「ふらのバス」の中富良野バス停で、旭川駅前から約1時間25分、旭川空港から約48分、富良野駅前から約12分。中富良野からは徒歩約25分、タクシーなら約5分です(中富良野ハイヤー TEL 0167-44-2331)。札幌方面からは北海道中央バスの高速ふらの号で富良野バスターミナルまで約2時間30分、そこから富良野駅発のJRやバスに乗り継ぐルートもあります。
もうひとつ足をのばしたいのが、2008年(平成20年)に開園した「ラベンダーイースト」。ファーム富田から十勝岳連峰に向かって東へ約4km(車で約7分)、上富良野町東中地区に広がる日本最大級のラベンダー畑です。かつて水田だった土地を整備した香料作物の生産畑で、東に十勝岳連峰、南に富良野西岳・芦別岳と連なる夕張山地を望みます。この一帯は富良野地方のラベンダー栽培発祥の地でもあります。開花は6月下旬〜7月中旬、見ごろは7月上旬〜7月中旬で、営業は開花期のみの期間限定(2026年は6月20日〜7月20日、9:30〜16:30)。訪問前に公式サイトで営業期間を確認してください。
訪問の実用情報
- 見頃・ベストシーズン:ラベンダーの開花期は例年7月から8月中旬ごろ。園内の「蒸留の舎」では、7月〜8月中旬の開花期に精油の蒸留風景を見学できます。開花状況は年により前後するため、公式の開花情報をご確認ください。
- アクセス:所在地は〒071-0704 北海道空知郡中富良野町基線北15号(TEL 0167-39-3939)。JR富良野線「ラベンダー畑駅」(夏季のみの臨時駅)から徒歩約7〜8分、通年営業の「中富良野駅」からは約2.0km・徒歩約25分/車約5分。ラベンダー畑駅に停車する富良野・美瑛ノロッコ号の2026年運行日は6/6・6/7、6/13〜8/11、8/15〜9/13の土日、9/19〜9/23です。車では旭川空港から国道237号経由で約45分、新千歳空港から道東自動車道占冠IC経由で約2時間30分、札幌市内から道央自動車道三笠IC経由で約2時間30分。バスはふらのバス「快速ラベンダー号」で旭川駅前⇔中富良野が約1時間25分、旭川空港⇔中富良野が約48分、富良野駅前⇔中富良野が約12分。
- 駐車場:中富良野町営北15号駐車場は2026年は6月13日〜8月23日の期間限定で有料化されました(翌年の期間は中富良野町の発表をご確認ください)(24時間開設、普通車104台・バス18台、普通車1回500円・バス1回2,000円)。支払いはキャッシュレス(クレジットカード・電子マネー・交通系IC・QRコード決済)のみで現金は使えません。 路上駐車およびバス専用駐車場への駐車は禁止されています。混雑時は町役場やフラワーパークなど公共施設の駐車場に停め、徒歩や自転車で観光施設へ向かう方法も案内されています。
- 服装・装備:広い園内を歩くため歩きやすい靴で。日陰が少ないので帽子・日焼け止め・飲料など暑さ対策を。
※花畑は農地です。畑の中に立ち入ったり花を摘んだりせず、決められた通路から観賞してください。
※開花期の周辺道路は非常に混雑します。時間に余裕をもった行動を。
(出典:ファーム富田 公式サイト「ファーム富田の歴史」「アクセス」「ラベンダー畑駅(ノロッコ号)」https://www.farm-tomita.co.jp/ / 中富良野町公式サイト「ファーム富田」「町営北15号駐車場有料化について」https://www.town.nakafurano.lg.jp/ / 2026年7月29日確認)
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