岳温泉|日帰り入浴の料金・営業時間【福島】
福島県二本松市、日本百名山・安達太良山の東ふもとに開けた高原の温泉郷が岳温泉です。安達太良山の標高1,500m付近に湧く源泉から、山肌を伝う湯樋(ゆどい)で約8キロメートルもの距離を引いてくる、全国でも一、二を争う長距離の引き湯。全国的に珍しい酸性泉が、街のすみずみまで届けられています。
見どころ
温泉街の中心を貫くのは「ヒマラヤ大通り」。温泉神社への参道でもあるこの通りに沿って、古き良き佇まいの旅館や土産店が並びます。通りは空に向かって緩やかに上がっていき、澄んだ日には正面に安達太良の山並みが見えます。高村光太郎が『智恵子抄』で「ほんとの空」と詠んだのが、この山の空です。
街なかには鏡ヶ池公園と緑ヶ池公園があり、天気がよければここからも安達太良山を望めます。後述する「ミルキーデイ」には緑ヶ池が鮮やかなエメラルドグリーンに染まり、幻想的な光景になります。
8キロメートルの湯樋と、湯守という仕事
源泉から温泉街まで、湯はおよそ40分かけて流れ下ります。長い管の中で自然に湯もみされるため、酸性泉でありながら肌当たりのやわらかい湯になるのが岳温泉の身上です。
この引き湯を支えているのが「湯守(ゆもり)」と呼ばれる人たちです。標高1,500m付近の源泉での作業、湯樋の管のメンテナンス、登山道の整備まで、源泉と引き湯に関わるすべてを任されています。積雪の多い冬季の作業は特に過酷で、危険をともなうといいます。
湯守が湯樋に付着した湯花を洗い流す「湯花流し」を行う日は、いつもは透明な湯が牛乳のように白濁します。これが「ミルキーデイ」。夏はおおむね週に1回、冬は2週間に1回の頻度ですが、自然条件に左右されるため日程は岳温泉観光協会の公式SNSで告知されます。
三度の災害と、そのたびの再建
岳温泉の名は古く、『日本三代実録』貞観5年(863年)10月20日の条に「小結温泉に従五位を授ける」、『日本紀略』寛平9年(897年)9月7日の条に「小結温泉に正五位下を授ける」と記された温泉が岳温泉にあたるとされています。名称は湯日、十文字、深堀、そして岳へと変わってきました。
江戸時代、二本松藩は安達太良山の標高1,500m地点に温泉街を整備し、番所や藩公の御殿を置きました。ところが長雨と台風で鉄山の一角が崩壊し、土石流が温泉街を一瞬にして飲み込みます。藩は6キロほど下った平原に「十文字岳温泉」を再建。湯温を保つため土管をやめ、赤松をくり抜いた木管の樋に替えるという大工事で、約5千両を投じて山津波の翌年7月に完成させました。嘉永5年(1852年)の『諸国温泉効能鑑』では「陸奥の岳温泉」として東北第1位に番付されています。
しかし慶応4年(明治元年)の戊辰戦争で、西軍の拠点になることを恐れた二本松藩士の手により温泉街は焼き払われました。明治3年に深堀温泉として再々建されるも、明治36年10月20日、旅館からの失火で三たび全滅。有志17名が7,600円を投じて会社を設立し、国有林の払い下げを受けて中央に道路を通し、両側に旅館と商店、2つの共同浴場を配した現在の街の原型ができました。その後の経営難を経て、湯樋を4千本以上つなぎ直す引き湯の再整備が行われ、昭和30年(1955年)には全国7か所の国民保養温泉地の一つに指定されています。昭和57年に「ニコニコ共和国」の独立を宣言したユニークな試みも、街のあちこちに名残を残しています。
訪問の実用情報
- 泉質・適応症:単純酸性温泉(低張性・酸性・高温泉)、掲示用泉質名は酸性泉。泉質別適応症はアトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、耐糖能異常(糖尿病)、表皮化膿症。一般的適応症として筋肉・関節の慢性的な痛みやこわばり、冷え性、疲労回復などが挙げられています
- 禁忌症:泉質別禁忌症として、皮膚または粘膜の過敏な人、高齢者の皮膚乾燥症が示されています。刺激の強い酸性泉のため、肌の弱い人は入浴後に温泉成分を温水で洗い流すとよいとされています
- 源泉温度・pH:源泉名は「元湯」(5源泉の混合泉)。令和元年の温泉分析書で泉温54.5度、pH2.50。自然湧出です
- 湯づかい:温泉街の日帰り施設は源泉かけ流しを掲げる宿が多く、8キロの引き湯の間に湯もみされた湯が届きます
- 日帰り入浴(岳の湯):10:00〜19:30(最終入館19:00)、火曜定休。大人400円・小人150円。大きな「ゆ」の暖簾が目印で、素泊まりの宿泊も兼ねています
- そのほかの日帰り施設:陽日の郷あづま館は12:00〜20:00(最終受付19:30、水曜は15:00から、土曜・休前日は12:00〜16:00)で大人1,000円。ながめの館光雲閣は11:00〜15:00で大人900円。空の庭リゾートは10:30〜15:00(最終受付14:00)で大人800円。mt.innは7:00〜21:00(木曜は15:00から)で大人700円。スカイピアあだたらは10:00〜20:00(最終受付19:30)、第1水曜休、大人800円
- 露天風呂:光雲閣、扇や、あづま館、花かんざし、空の庭リゾート、あだたら山奥岳の湯などに露天風呂があります。サウナは光雲閣、あづま館、スカイピアあだたらに備わります
- アクセス:JR二本松駅の「二本松駅入口」から福島交通バス岳線で「岳温泉」まで25〜28分、運賃500円。車なら東北自動車道二本松ICから。本宮ICで下りて安達太良の山並みを眺めながら向かうルートも観光協会が薦めています
- 所要時間・混雑:入浴だけなら1時間ほど。温泉街は平坦で歩きやすく、街歩きとあわせるなら半日みておくと安心です
- 支払い:共同浴場は入浴料が数百円と手頃なので、現金を用意しておくと確実です
- 山とあわせて:あだたら高原リゾートのロープウェイは8:30〜16:30運行で、標高1,350mの薬師岳まで約10分。併設の「あだたら山 奥岳の湯」は10:00〜19:00(11月6日以降は18:00まで)、大人800円・小人500円です
- 所在地:〒964-0074 福島県二本松市岳温泉(岳温泉観光協会は岳温泉1-16、電話 0243-24-2310)
📚 情報の参照元
泉質名・源泉温度・pH・適応症・禁忌症は、岳温泉観光協会公式サイトが掲載する温泉分析書(第909号、令和元年9月24日、一般社団法人福島県薬剤師会)で確認しました。8キロメートルの引き湯と湯守、ミルキーデイの説明、そして貞観5年から昭和30年の国民保養温泉地指定に至る歴史は、同協会の「岳温泉の泉質・効能」および「岳温泉について」のページによります。岳の湯をはじめとする各日帰り施設の営業時間・料金・定休日は同協会の「日帰り温泉」ページ、周辺施設の情報は「周辺スポット」ページ、バスの所要時間と運賃は福島交通の公式検索で確認しました。料金や営業時間・定休日は変更されることがあるため、おでかけ前に公式情報でご確認ください。
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