山高神代桜|樹齢2000年、日本最古級の一本桜【山梨・北杜】
山梨県北杜市武川町、日蓮宗の古刹・実相寺の境内に立つ一本のエドヒガンザクラが「山高神代桜(やまたかじんだいざくら)」。福島の三春滝桜、岐阜の根尾谷淡墨桜とともに「日本三大桜」に数えられ、そのなかでも最古とされる名木です。
樹齢2000年の巨木
樹齢は1800年とも2000年ともいわれ、日本で最も古い桜の一つとされます。樹高は約10.3メートル、根元の幹周りは約11.8メートル、枝張りは東西17.3メートル・南北13.0メートルにおよぶ巨木で、老いてなお花を咲かせるその姿は圧巻です。大正十一年(一九二二年)に国指定天然記念物第1号となりました。平成二年(一九九〇年)には「新日本名木百選」にも選ばれています。
名前の由来と伝説
「神代桜」の名は、日本神話の英雄ヤマトタケルノミコトが東征の折にこの木を植えたと伝わることに由来します。また鎌倉時代には、衰えたこの桜を見た日蓮聖人が回復を祈願したところ再び花を咲かせたと伝えられ、「妙法桜」とも呼ばれます。幾度も樹勢の衰えを乗り越え、今日まで樹木医らの手厚い保護のもとで生き続けてきた、まさに生命の象徴のような一本です。
桜を守り伝える実相寺の境内
神代桜が立つのは日蓮宗の古刹・実相寺。長い年月のあいだ、この寺とともに桜も守り継がれてきました。老木となった神代桜は、支柱に支えられながらも毎春、淡い花をまとって多くの人を迎えます。近年では、この桜の種を宇宙へ運び、帰還後に育てた「宇宙桜」の取り組みも知られ、はるか昔から続く命が未来へとつながれています。
見頃とアクセス
例年の見頃は三月下旬から四月上旬で、満開の期間は一週間から十日ほどです。境内には神代桜のほかソメイヨシノが約三十本、ラッパ水仙が約八万株植えられ、春には一帯が花に包まれます。背後には雪をいただく南アルプスの峰々が広がり、桜と山並みの競演も見どころです。JR中央本線・日野春駅からタクシーで約十分〜十五分(北杜市観光協会の案内は、實相寺のページで「十分」、山高神代桜のページで「約十五分」と表記が分かれています)。實相寺の境内で桜を見る場合は拝観料(一般五百円、北杜市民三百円、中学生以下無料)が必要です。境内での花見宴会は禁止されています。開花状況は年により変わるため、お出かけ前に北杜市観光協会の公式情報でご確認ください。
エドヒガンザクラという桜
神代桜の樹種はエドヒガンザクラ(江戸彼岸桜)です。葉が開くより先に花を咲かせる種類で、寿命が長いことで知られ、各地に残る一本桜の名木にはこのエドヒガンが多く見られます。神代桜は日本最古・最大級のエドヒガンザクラとされ、大正十一年(一九二二年)に国の天然記念物として指定されました。實相寺の説明では、老いてなお「東方に太く力強い枝を伸ばし」ている姿が、この木の生命力を物語るといいます。ソメイヨシノのように一斉に華やぐ桜とは対照的に、太い幹と数少ない枝から絞り出すように咲く花の姿には、樹齢という時間の重みがそのまま宿っています。
神代桜を守ってきた實相寺
神代桜を守り伝えてきた實相寺は、日蓮宗総本山・身延山久遠寺の直末にあたる寺院です。寺の伝えによれば、伊豆守実氏が身延山第五世の弟子となり、山高村大津にあった真言宗の寺院を譲り受けて日蓮宗に改めたのが始まりで、のちに一条次郎忠頼の城址である現在地へ移されたとされています。日蓮聖人が樹勢の衰えたこの桜の回復を祈願したという「妙法桜」の伝承も、この寺と桜の結びつきを示すものです。神代桜は単なる名木ではなく、寺と地域の人々が代々守り継いできた祈りの対象でもありました。
撮影のコツ
神代桜の主役は、根元まわり約十一・八メートルという圧倒的な幹です。幹の量感を出したいなら、広角レンズで低い位置から見上げるように構えると、支柱に支えられた枝ぶりと空の広がりを一枚に収められます。背後に南アルプスの稜線を入れる構図は定番で、残雪の白と花の淡い色が響き合います。足元に咲くラッパ水仙の黄色を前ボケに使えば色数が増え、春らしい一枚に。日中は逆光になりやすいため、光がやわらかい朝の早い時間帯のほうが花の色が素直に出て、人出も比較的少なめです。桜は柵の外から撮影し、ロープや保護区域の中には決して入らないようにしましょう。
あわせて訪れたい北杜市周辺の桜
北杜市周辺は一本桜の宝庫で、神代桜と組み合わせて巡る人が多い土地です。北杜市観光協会が桜のおすすめコースで紹介している「わに塚の桜」は、樹齢約三百二十年のエドヒガン。塚の中心に一本だけ立つ姿と、残雪の山々を背景にした景色が印象的で、見頃にはライトアップも行われます。武川町の萬休院は、樹齢百年の舞鶴松と手入れの行き届いた庭園が桜を引き立て、南アルプスの山並みと調和した風情が味わえます。神宮川の桜並木は、白砂と澄んだ流れのそばでのんびり花見が楽しめる地元に愛されるスポット。ほかにも、木蓮や豆桜、芝桜が咲き「花のお寺」と呼ばれる龍岸寺、高台から須玉の町並みと甲府盆地を一望できるふるさと公園など、車があれば一日で複数の桜を巡ることができます。
四季の實相寺
神代桜の見頃は年に一度、わずか一週間から十日ほど。しかし桜の時期を外して訪れても、山あいの静かな境内は心地よい場所です。若葉をまとう初夏、蝉時雨に包まれる夏、南アルプスの雪が下りてくる秋、雪をかぶって枝の骨格があらわになる冬——同じ木でも季節ごとにまったく違う表情を見せます。花のない時期こそ、二千年ともいわれる歳月を刻んだ幹のかたちをじっくり眺められる好機です。
訪問の実用情報
- 見頃・ベストシーズン:例年3月下旬〜4月上旬(満開期間は1週間〜10日程度)。北杜市観光協会が公表する近年の見頃入りは、2025年3月30日頃、2024年4月1日頃、2023年3月23日頃、2022年3月29日頃と年により大きく前後します。
- 開催期間/ライトアップ:神代桜まつりは2026年は3月24日〜4月19日に開催されました。毎年の日程は開花状況に合わせて前後するため、翌春の会期は北杜市観光協会の発表をご確認ください。
- 料金:實相寺の境内で桜を見る場合は拝観料が必要です(一般500円、北杜市民300円、中学生以下無料)。境内の外からも桜を眺めることはできます。
- アクセス:車は中央自動車道・須玉ICから約15分、小淵沢ICから約30分。カーナビは「實相寺」(北杜市武川町山高2763)で検索を。電車はJR中央本線・日野春駅からタクシーで約10〜15分(北杜市観光協会の實相寺ページは「10分」、山高神代桜ページは「約15分」と案内が分かれています)。特急利用ならJR小淵沢駅からタクシー約30分。なおJR韮崎駅から「下教来石」行きの路線バス(下教来石線)は2026年3月31日をもって廃止されました。
- 駐車場:境内すぐ南側に駐車場あり(境内まで徒歩1分)。開花時期には有料の臨時駐車場が開設されます(大型車2,000円/普通車500円)。予約制度はありません。
- 服装・装備:境内には一部段差がありますが車いすでの見学は可能で、境内トイレはバリアフリーです。トイレは駐車場横と境内に各1か所、神代桜まつり期間中は仮設トイレも設置されます。標高約550メートルの山あいで、桜の時期の朝夕は冷え込むため防寒を。
- 禁止事項・安全:境内での花見宴会は禁止されています。桜の時期は周辺で渋滞が発生し、国道20号「牧原」交差点から先は道幅が狭くなります。会場付近には誘導員が立つので、指示に従って通行してください。
※ 開花状況は年により変わります。お出かけ前に北杜市観光協会のライブカメラや開花情報でご確認ください。
(出典:北杜市観光協会「山高神代桜(やまたかじんだいざくら)」「實相寺(じっそうじ)」/北杜市フィルムコミッション ロケーションライブラリー「山高神代桜」)
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