美和神社|大物主命を祀る縁結びの古社【山梨・笛吹】
山梨県笛吹市御坂町二之宮に鎮座する美和神社は、奈良の大神神社(おおみわじんじゃ)にゆかりを持つと伝わる古社です。御祭神は大物主命(おおものぬしのみこと)。甲斐国の二之宮に数えられ、旧社格は県社という格式を持ちながら、観光地化されていないため落ち着いて参拝できます。桃と葡萄の里・笛吹をめぐる旅に、静かな一点を加えてくれる場所です。
甲斐国二之宮としての歩み
社伝では、景行天皇のころ、甲斐国造の塩海足尼(しおのみのすくね)が大和国の大神神社から勧請したのが始まりと伝えられます。文献上の初見は『日本三代実録』の貞観5年(863年)6月8日の記事で、この日に従五位を授けられたと記されています。国史に名の見える「国史見在社」であり、笛吹市の説明によれば、九世紀・光孝天皇の時に甲斐国第二宮と定められました。一之宮の浅間神社、三之宮の玉諸神社と並ぶ位置づけです。
戦国の世には、歴代の武田惣領が武運長久と子孫繁栄を祈願して崇敬しました。社宝として伝わる「朱礼紅糸素懸威胴丸佩楯付(しゅれいべにいとすがけおどしどうまるはいだてつき)」は、信玄公が元服の際にまとった甲冑とされ、山梨県の指定文化財となっています。
平安時代の御神体と、県内唯一の湯立神事
美和神社最大の宝は、国の重要文化財に指定されている木造大物主神立像です。衣冠を身につけて立つ姿の御神体で、平安時代の様式をもち、明治39年(1906年)9月6日に国宝(現在の重要文化財)に指定されました。このほか県指定の文化財として、板絵著色三十六歌仙図、白糸威褄取鎧〈残欠〉などが伝わっています。
祭事では、2月8日の湯立神事が特筆されます。釜で沸かした湯を笹で振りかける神事で、山梨県内で現存する唯一の湯立神事とされています。例祭は3月15日。さらに4月第一日曜の春季例祭では、県指定無形民俗文化財の太々神楽(だいだいかぐら)が奉納されます。この神楽は元禄年間(1688〜1704年)に始められたと伝えられ、300年以上受け継がれてきました。桃の花が咲く時期と重なる年もあり、里が桃色に染まるなかで神楽を見られるのは、この神社ならではの体験です。
訪問の実用情報
- 参拝時間:境内は終日自由に参拝できます
- 参拝料:無料
- 社務所・御朱印:社務所は常駐ではなく不在のことが多いとされ、参拝者の報告では事前に電話連絡をすると宮司が対応し、社務所で御朱印を受けられる場合があります。確実に受けたい場合は事前連絡を
- 堂内・社殿:本殿は流造、拝殿は入母屋造。御神体の木造大物主神立像は常時公開されているものではありません
- 駐車場:境内に駐車スペースがあります
- アクセス(車):中央自動車道・一宮御坂ICから西へ約2km
- アクセス(電車):最寄りはJR中央本線・石和温泉駅。駅からは距離があるため、タクシーや車の利用が現実的です
- 所要時間の目安:参道と社殿をひと通りまわって20〜30分。長い表参道をゆっくり歩くなら40分ほど
- 参道:両部鳥居から続く表参道は杉並木で、笛吹市内の神社では最も長いとされます。参拝の中心はこの参道歩きです
- 足もと・服装:参道は平坦ですが土と砂利の道です。雨上がりはぬかるむことがあるため、歩きやすい靴を
- ベビーカー・車椅子:表参道は長く砂利まじりのため、ベビーカーや車椅子ではやや押しにくい区間があります。社殿前には段差があります
- 雨天時:屋根のある休憩施設は限られます。雨の日は短時間の参拝にとどめ、近隣の石和温泉の日帰り入浴施設などと組み合わせるのが現実的です
- 混雑を避けるなら:もともと参拝者の少ない古社で、平日はほぼ貸し切りの静けさです。人が集まるのは2月8日の湯立神事、3月15日の例祭、4月第一日曜の春季例祭
- 周辺:笛吹市は桃・葡萄の名産地で、周辺には観光農園が点在します。石和温泉には宿と日帰り入浴施設が集まっています
- 所在地:山梨県笛吹市御坂町二之宮1450-1
📚 情報の参照元
所在地、九世紀・光孝天皇の時に甲斐国第二宮と定められたこと、武田惣領の崇敬、国指定重要文化財「木造大物主神立像」および県指定文化財(板絵著色三十六歌仙図、太々神楽、白糸威褄取鎧〈残欠〉、朱礼紅糸素懸威胴丸佩楯付)は、笛吹市公式サイトの文化財紹介ページによります。御祭神と、信玄公の元服時の甲冑と伝わる社宝、甲斐国一之宮・三之宮との位置づけは、笛吹市観光物産連盟「ふえふき観光ナビ」の神社紹介によります。『日本三代実録』貞観5年(863年)の初見、木造大物主神立像の明治39年指定、例祭3月15日・湯立神事2月8日(県内で現存する唯一の湯立神事)・4月第一日曜の太々神楽奉納、本殿の流造は、公開されている社歴・文化財資料の記載によります。社務所の常駐状況と御朱印の受け方、表参道・鳥居の様子は参拝者による公開情報を参考にしています。祭事の日程や社務所の対応は変更されることがあるため、おでかけ前に公式情報でご確認ください。
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