松明あかし|五老山を焦がす大松明と日程【福島】
福島県須賀川市で毎年11月第2土曜日の夜に行われる「松明あかし」は、430年以上の歴史をもつ火祭りです。市街地に隣接する翠ヶ丘公園の五老山に、長さ約10メートル・重さ約3トンの大松明をはじめとする松明が立ち並び、日が落ちるのを待って一斉に炎を上げます。戦国時代に伊達政宗の軍勢に攻め落とされた須賀川城の合戦で命を落とした人々を弔うために始まったと伝えられ、勇壮な炎の奥に鎮魂の祈りが流れている行事です。
五老山が炎に包まれる夜
会場となる五老山は、翠ヶ丘公園の中にある小高い丘です。日が暮れると斜面には本松明が20本ほど据えられ、その中央に大松明がそびえます。合図とともに火が移されると、藁と竹が燃える乾いた音が谷にこだまし、火の粉が夜空へ吸い込まれていきます。数十メートル離れた観覧場所にいても頬に熱が届き、藁の焦げるにおいが風に乗って流れてきます。炎に照らされた見物客の顔がオレンジ色に染まり、松明太鼓の低い響きが腹の底に伝わってくる。写真では伝わらない「熱」と「音」こそ、この祭りの核心です。
松明通りを進む松明行列
点火の前、祭りは市街地から始まります。二階堂神社で受けた御神火を御神火隊が運び、市内の中学校を中心とした若者たちが本松明を担いで松明通りを進みます。子どもたちが手にする小松明の列も加わり、通り沿いは細かな灯りの帯になります。「わっしょい」の掛け声と太鼓が入り混じり、沿道の観客との距離が近いのも須賀川ならでは。なお、大松明の人力による運搬・建立は担ぎ手の減少と安全上の理由から近年見直されており、当日の行列の内容は年によって変わります。出かける前に須賀川市の公式ページでその年のプログラムを確認しておくと安心です。
須賀川城落城と鎮魂の由来
1589年、摺上原の戦いで芦名氏を破った伊達政宗は、須賀川へ矛先を向けます。当時の須賀川城主は政宗の叔母にあたる大乗院でしたが、芦名家を滅ぼした政宗への降伏を拒みました。同年10月26日未明、城下の八幡崎や雨呼口で激戦となり、内通もあって須賀川城は炎に包まれて落城します。城主の大乗院は城を落ち延び、のちに秋田へ向かう途上、1602年に須賀川の長禄寺で生涯を閉じたと伝えられます。江戸時代には旧暦10月10日に戦死者を弔って炬火を投げ合う行事が行われ、これがかたちを変えながら今日の松明あかしへと受け継がれました。単なる火の見世物ではなく、落城の記憶を土地の人が絶やさずに抱え続けてきた行事だという背景を知っておくと、炎の見え方も変わってきます。
楽しみ方のコツ
11月の須賀川の夜はかなり冷え込みます。厚手のダウンや手袋、カイロを用意し、足元は歩きやすい靴で。会場の五老山は芝生の斜面で、雨のあとはぬかるむこともあるため、汚れてもよい靴のほうが安心です。会場周辺には露店が並び、出店エリアや時間は年によって変わります。点火の時間帯は五老山周辺が最も混み合うため、早めに斜面の観覧位置を確保しておくのがおすすめです。火の粉が舞うので、化学繊維の上着よりも綿素材のほうが安心。小さな子ども連れなら、炎に近づきすぎない後方から見上げる位置のほうが全体像が見渡せます。市街地の松明行列と五老山の点火は場所が離れているので、どちらを重点的に見るか決めておくと動きやすくなります。
アクセス
JR東北本線の須賀川駅から会場の翠ヶ丘公園まで徒歩約15分。車の場合は東北自動車道の須賀川インターチェンジから10分ほどですが、当日は会場周辺に交通規制がかかり、無料の臨時駐車場も台数に限りがあります。路上駐車はできないため、可能なら郡山方面から鉄道を使うほうが確実です。年によっては有料のシャトルバスが運行されます。同じ福島県の火と武者の祭りとしては相馬野馬追も知られています。
祭りの実用情報
- 開催時期:毎年11月第2土曜日
- 会場:五老山(福島県須賀川市愛宕山5・翠ヶ丘公園内)、松明通り(須賀川市中町周辺)
- 主催・問い合わせ:松明あかし実行委員会事務局(須賀川市商工観光課)電話 0248-88-9144
- アクセス:JR東北本線須賀川駅から徒歩約15分
- 駐車場:会場周辺に無料の臨時駐車場あり(台数に限りあり、路上駐車不可)
- 公式サイト:https://www.city.sukagawa.fukushima.jp/kanko_sukagawa/event/taimatsu_akashi/index.html
※日程・内容・料金は変更される場合があります。おでかけ前に公式サイトで最新情報をご確認ください。
(出典:須賀川市公式ホームページ、須賀川市観光物産振興協会公式サイト、旅東北(東北観光推進機構)公式サイト)
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