滋賀県グルメ|近江牛・鮒寿司・近江ちゃんぽん
琵琶湖の恵みと豊かな自然に育まれた滋賀県は、和牛から発酵食、ご当地麺まで、個性豊かな食文化が花開いた美食の地。近江商人の歴史が育んだ味の数々が、旅の楽しみを一層豊かにしてくれます。
近江牛
滋賀県内で最も長く飼育された黒毛和種を指すブランド牛で、農林水産省の地理的表示(GI)保護制度に登録第56号として登録されています。GI登録では「約400年前から生産が続く最も古い銘柄牛のひとつであり、日本の牛肉食文化への貢献や肥育技術の高さから日本三大和牛とも称される」と説明され、融点の低い不飽和脂肪酸であるオレイン酸を多く含み脂質の口溶けが良いことが特性とされています。すき焼き、しゃぶしゃぶ、ステーキと、どんな調理法でもその上質な味わいを堪能できます。
鮒寿司
琵琶湖固有種のニゴロブナを米飯とともに乳酸発酵させた「なれずし」の一種。滋賀県によると、春先に漁獲されたニゴロブナを塩漬けにし、夏の土用のころに洗ってご飯に漬け込み、正月のころには酸味が増して骨まで柔らかくなり食べごろを迎えます。強い酸味と芳醇な香り、噛むほどに広がる深い旨みは「クセになる」と評される珍味で、日本酒との相性は格別。滋賀の発酵食文化を象徴する一品です。
近江ちゃんぽん
彦根発祥のご当地麺料理。長崎ちゃんぽんとは異なり、和風だしの効いたあっさり醤油味のスープが特徴です。たっぷりの野菜と相まって、最後まで飲み干したくなる優しい味わい。卓上のお酢を加えて味変を楽しむのが地元流です。
赤こんにゃく
近江八幡の名物、鮮やかな赤色のこんにゃく。三二酸化鉄で色付けされており、見た目のインパクトは抜群ながら味はクセのない普通のこんにゃく。煮物やおでん、刺身こんにゃくとして食卓に彩りを添えます。
丁稚羊羹
滋賀県内各地に伝わる素朴な蒸し羊羹。竹皮に包まれた控えめな甘さの羊羹は、お茶うけやお土産にぴったり。地域の歴史が息づく、昔ながらの郷土の味です。
えび豆 — 「まめに暮らせますように」の願いを込めて
滋賀の食卓を語るうえで欠かせないのが、琵琶湖の小さな恵みを使った常備菜です。その代表が「えび豆」。農林水産省「うちの郷土料理」によると、琵琶湖でとれるスジエビと大豆を甘辛く煮た料理で、使われる大豆はかつて田んぼの畦(あぜ)で栽培されていたものでした。田の縁までも無駄にしない農の営みが、そのまま一皿になっているわけです。
古くから祝儀や法事、祭りなどの席で供されてきた料理で、その名には「エビのように腰が曲がるまで、まめに暮らせますように」という長寿への願いが込められているといいます。正月などのハレの日にも欠かせない一品です。
調理には酢が使われ、これがエビの殻を軟らかくすると同時に日持ちを良くします。安価な材料で作れて保存がきき、カルシウムとたんぱく質が豊富——雪の多い湖北の冬をはじめ、保存食が重んじられた土地柄をよく映しています。飴色に煮上がったエビの香ばしさと、ほくほくとした大豆の食感の対比が持ち味で、通年味わえるのもうれしいところ。県内全域で親しまれ、学校給食に登場するほか、弁当や土産用の加工品としても売られています。
じゅんじゅん — 鍋が立てる音が、そのまま料理名に
「じゅんじゅん」は、滋賀県内に伝わるすき焼き風の鍋料理です。その名の由来がなんとも愛らしく、農林水産省の解説によれば、具材を鍋で煮るときに立つ「じゅんじゅん」という音がそのまま料理名になったといいます。食卓に置かれた鍋から立ちのぼる湯気と、割下が煮立つ音——料理名を口にするだけで、その場の空気まで想像できてしまう命名です。
具材は近江牛や鶏肉のほか、いさざ、うなぎ、なまずといった湖魚が使われ、季節の野菜とともに煮込まれます。豊浦ねぎや安土信内ねぎといった滋賀の伝統野菜、独特の歯ごたえを持つ丁字麩(ちょうじふ)、そして前述の赤こんにゃくが加わるのも、この土地ならでは。正月やお盆などの祝いの席では牛肉や鶏肉で、湖魚を使うものは湖北・湖西・湖東地域や沖島など、琵琶湖のほとりの地域でとりわけ親しまれてきました。現在は季節の食材を使って通年食べられています。
あめのいおご飯 — 琵琶湖の「幻の魚」を味わう
琵琶湖固有種のビワマスは、サケ科の淡水魚で、普段は湖の深いところに暮らす「幻の魚」です。この魚を使った炊き込みご飯が「あめのいおご飯」。「あめのいお」とは「雨の魚」の意で、秋の産卵期、雨で河川が増水した際に川をさかのぼってくるビワマスの姿に由来する呼び名です。深い湖底にいる魚が人の暮らしと出会える、貴重な季節の料理といえます。
産卵期のビワマスは脂が落ちているため、それをおいしく食べるための工夫として生まれた料理とされ、人参、しいたけ、油揚げなどとともに炊き上げます。炊飯中から漂う魚と醤油の香りは食欲をそそり、ほぐれた身と出汁を吸った米の相性は格別です。地域によって具材が異なり、湖南・湖西地域では「あめのいおご飯」、湖北地域では「ます飯」と呼び分けられています。平成10年(1998年)には滋賀県選択無形民俗文化財「滋賀の食文化財」に選択されました。旬は秋。刺身でも供され、脂ののったビワマスの刺身は湖国の秋を代表する味覚のひとつです。
ベストシーズン
通年楽しめますが、近江牛のすき焼きは秋〜冬が恋しくなる季節。彦根・長浜・近江八幡・大津の郷土料理店で各名物が味わえます。
アクセス
彦根市・長浜市・大津市などに郷土料理店が点在。近江牛の焼肉・すき焼きは彦根・近江八幡の専門店で楽しめます。
訪問の実用情報
- 旬の時期:近江牛は通年味わえます。ふなずしは滋賀県によると、春先に漁獲されたニゴロブナを塩漬けにし、夏の土用のころに洗ってご飯に漬け込み、正月のころに酸味が増して骨まで柔らかくなり食べごろを迎えます。
- 主な提供エリア:近江牛は近江八幡市・彦根市・大津市など県内各地の専門店。ふなずしは琵琶湖岸の郷土料理店や製造元。近江ちゃんぽんは彦根市を中心に、近江ちゃんぽん協会の認定店で提供されています。
- 注意点:「近江牛」は「滋賀県内で最も長く飼育された黒毛和種」と定義され、農林水産省の地理的表示(GI)保護制度に登録第56号として登録されています。購入・飲食の際はGIマークや認証書の有無を確認すると安心です。ふなずしは乳酸発酵による強い酸味と香りがあるため、初めての方は少量から試すことをおすすめします。
※個店の営業時間・料金は店舗により異なります。
(出典:農林水産省 地理的表示(GI)登録 第56号「近江牛」、滋賀県公式サイト「ふなずし」)
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