静岡おでん|黒いスープが決め手のご当地B級グルメ
静岡おでんは、静岡市を中心に発展した独特のご当地おでんで、全国のおでんとは一線を画す個性的な特徴を持っています。庶民に親しまれ、駄菓子屋や屋台で気軽に味わえる存在として定着しました。黒いスープ、串刺しのスタイル、そして仕上げの「だし粉」と青のりという特徴が、静岡おでんを唯一無二の存在にしています。地元の人々に長く愛され続けるソウルフードです。
真っ黒なスープの特徴
静岡おでん最大の特徴は、なんといってもスープが黒いことです。牛すじだしをベースに、濃い口の割り下で長時間煮込むことで、深いコクと色合いが生まれます。長く継ぎ足されてきた黒いつゆは、見た目のインパクトとは裏腹に、味は意外なほどまろやか。具材にしっかり味が染み込んでおり、はじめて食べる人もそのうまみと優しい後味に驚かされます。

串刺しスタイルと「だし粉」「青のり」
静岡おでんでは、すべての具材が串に刺さって提供されるのも大きな特徴です。黒はんぺん(サバやイワシなどの魚を骨ごとすりつぶして作る、静岡ならではの灰色の練り物)、牛すじ、こんにゃく、大根などを串で気軽につまめます。食べる際にはイワシやサバの削り粉「だし粉」と青のりをたっぷり振りかけるのが静岡流。この香り高い仕上げが、黒いつゆの深みとあいまって、ほかにはない風味を生み出します。

覚えておきたい「静岡おでん5か条」
静岡市観光ナビ(静岡市観光公式サイト)は、静岡おでんの条件を次の5つに整理しています。
1. 黒はんぺんが入っている 2. 黒いスープ 3. 串にさしてある 4. 青のり・だし粉をかける 5. 駄菓子屋にもある
この5つがそろってはじめて「静岡おでん」。逆にいえば、串と黒はんぺんとだし粉さえあれば、店の格や値段に関係なく静岡おでんなのです。
駄菓子屋で食べる、おやつのおでん
5か条の最後にある「駄菓子屋にもある」は、他県の人がいちばん驚くポイントかもしれません。静岡市観光ナビによれば、静岡市に生まれ育った人たちは、おでんをおやつ代わりに食べてきたといい、それも寒い季節に限らず、真夏の暑い時季にも食べるのだそうです。
おでんの店は居酒屋とは限りません。むしろかつていちばん多かったのは、子どもたちが集まる駄菓子屋でした。今でも駄菓子屋・パン屋・おにぎり屋といった店が、当たり前のようにおでんも売っています。変わったところでは静岡競輪場内の売店のおでんも味で評価が高く、それが目当てで競輪場に足を運ぶ人がいるほど。夜の一杯に合わせるのも、昼にふらりと一串つまむのも、どちらも正しい静岡おでんの楽しみ方です。
なお、3月には中心市街地の「青葉シンボルロード」で「静岡おでんフェア」が開催されます。街ぐるみでおでんを味わうこの時期に合わせて旅程を組むのも一案です。
主役の具材・黒はんぺん
静岡おでんの主役といえる「黒はんぺん」は、静岡県の食文化紹介によれば、イワシやサバ、アジなどの青魚を主原料とした、静岡県特有の茹(ゆ)でかまぼこです。前浜で豊富に獲れた青魚を加工し、日持ちを良くして食べたことが始まりとされます。灰白色で半月の形をしていることから、もともとは「はんべ」と呼ばれ、白い「はんぺん」と区別するために「黒はんぺん」の名が定着しました。
白いはんぺんが魚の身の部分だけを使うのに対し、黒はんぺんは骨や皮ごと丸ごと練り込むため、あの独特の灰色になります。静岡市で「はんぺん」といえば白ではなく黒。おでんのタネとしてはもちろん、衣をつけて揚げた「黒はんぺんフライ」も定番で、おでんの店にフライが置いてあることも珍しくありません。
タネの定番と、静岡流の一杯
静岡市観光ナビが挙げるタネの定番は、黒はんぺん、ナルト、こんにゃく、モツ、牛すじ、大根、卵、さつま揚げ。一方、関東のおでんでおなじみの「ちくわぶ」は、静岡の人に尋ねても「そんなものは聞いたことがない」といわれるのだとか。地域によっておでんの常識がまるで違うことが、串の一本一本から伝わってきます。
飲み物にも静岡らしさがあります。焼酎を静岡茶で割った一杯は、一般に「緑茶割り」と呼ばれるところ、静岡では「静岡割り」。お茶の都のプライドにかけて、割り材のお茶に手抜かりはありません。
五感で味わう青葉横丁・青葉おでん街
引き戸を開けた瞬間、鍋から立ちのぼる湯気と、継ぎ足されてきたつゆの甘辛い香りが顔に当たります。カウンターの向こうの銀色の平鍋には、串の頭がびっしりと並んで静かに揺れている。注文すると、店主が黙って串を引き上げ、皿にのせてくれます。
そこへ、だし粉と青のりを自分でたっぷりと。イワシの削り粉が湯気にあたって、磯の香りがふわりと立ちます。串を持ち上げると黒いつゆが糸を引き、口に入れると見た目の濃さとは裏腹に、まろやかで穏やかな味が広がる——この落差こそが静岡おでんの醍醐味です。
撮影のコツ
いちばん静岡おでんらしい絵になるのは、串が林立した鍋を斜め上から狙った一枚です。整然と並ぶ串の頭と黒いつゆの水面が同時に写り、他県のおでんとの違いが一目でわかります。皿に取ったあとは、だし粉と青のりをかける瞬間を横から。粉が落ちる軌跡と湯気が写り込むと臨場感が出ます。
店内は暖色の照明で暗めなので、フラッシュを焚くよりカウンターの明かりを生かし、手ブレに気をつけるほうが雰囲気が残ります。夕暮れから夜の路地は、赤提灯とビルの谷間の対比が絵になる時間帯。ただし、どちらの横丁も数坪ほどの小さな店ばかりで、他のお客さんとの距離が近い場所です。店内で撮る前には必ず一声かけましょう。
アクセス・基本情報
静岡おでんの名所として知られるのが、JR静岡駅から徒歩約15分の「青葉横丁」と「青葉おでん街」です。どちらも数坪ほどの小さな専門店が軒を連ね、レトロな雰囲気のなかでおでん巡りが楽しめます。戦後に多くのおでん屋台が集まっていた面影を今に伝えるエリアです。各店の営業時間・定休日はまちまちで変更されることもあるため、訪れる前に確認しておくと安心です。
ベストシーズン
おでんは寒い季節に恋しくなる料理ですが、静岡おでんは一年を通して楽しめます。夜の一杯とあわせて味わう人も多く、通年で賑わいます。
旅の実用メモ
青葉横丁・青葉おでん街の専門店は席数が限られる小さな店が多く、夜は混み合うこともあります。数人で訪れる場合は少し早めの時間帯が入りやすい傾向です。おでんは串単位で注文でき、黒はんぺんや牛すじなど気になる具を少しずつ試せるのが魅力。だし粉と青のりはセルフでかける店が多いので、はじめてなら店の人に静岡流の食べ方を尋ねてみるとよいでしょう。
ひとことアドバイス
黒はんぺんは静岡ならではの具材で、市内のスーパーや土産店でも購入でき、家庭でも静岡おでんの味を再現できます。青葉横丁・青葉おでん街は静岡駅から近く、観光の合間や夜の食事に立ち寄りやすい立地です。地元の人と肩を並べて味わう黒いおでんは、静岡旅行の思い出に残る一品になるでしょう。(たびたびJAPAN編集部)
📚 情報の参照元
本記事は、静岡市や地元観光協会の公表情報、青葉横丁・青葉おでん街の各専門店の案内、黒はんぺんなど地元食材を扱う店の紹介をもとに編集しています。各店の営業時間・定休日は変更される場合があるので、お出かけ前に各店の公式情報でご確認ください。
観光のチェックリスト
- 所要時間の目安: おでん巡りと食べ歩きで1〜2時間ほど
- アクセス: JR静岡駅から徒歩約15分の青葉横丁・青葉おでん街
- まわり方の目安: 席数の少ない店が多く、夜より少し早めの時間帯が入りやすい
- 味わい方: 串単位で注文でき、だし粉と青のりはセルフの店が多い
- あわせて楽しむ: 黒はんぺんは市内のスーパーや土産店でも購入できる
- 確認しておくこと: 各店の営業時間・定休日はまちまち
訪問の実用情報
静岡おでん街(青葉おでん街・青葉横丁)
- 所在地:〒420-0034 静岡県静岡市葵区常磐町
- 営業時間:各店舗により異なります。直接ご確認ください
- 定休日:各店舗により異なります。直接ご確認ください
- アクセス:JR静岡駅から徒歩15分
- 雰囲気:ビル群の谷間に赤提灯が並ぶ2本のおでん街。数坪ほどの小さなカウンター中心の店が多く、店主や常連客との会話も楽しみのひとつです
※「青葉おでん街」と「青葉横丁」は隣接する別々の通りです。料金・駐車場・店舗数は公式で公表されていません。
(出典:静岡市観光ナビ〈静岡市観光公式サイト〉)
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