熊野本宮大社例大祭|湯登神事と渡御祭の日程【和歌山】
和歌山県田辺市本宮町の熊野本宮大社で、毎年4月13日から15日にかけて行われるのが例大祭です。御祭神の神徳を称え、国家安泰と国民平安を祈念する年に一度の最も重要な祭典で、13日の湯登神事、14日の産田社例祭、15日の本殿祭と渡御祭という流れで進みます。中心にいるのは、神の依り代とされる幼い稚児たち。「熊野本宮の湯登神事・御田祭」は和歌山県の無形民俗文化財に指定されています。
肩車で湯の峰へ向かう湯登神事
祭りは4月13日の湯登神事で幕を開けます。宮司以下の神職、神楽人、総代、山伏といった諸役が揃い、ウマと呼ばれる大人が幼い稚児を肩車して、湯の峰温泉へと向かいます。稚児は八撥神事のとき以外は地面に下ろされることがなく、その間ずっと大人の肩の上にいます。
湯の峰では斎館の温泉で潔斎し、装束を整えた稚児が湯之峯王子社で八撥の舞を奉納します。胸に吊した小さな羯鼓を打ち鳴らす、素朴で澄んだ音。山あいの温泉地に、この日だけの緊張した空気が満ちます。一行はさらに大日社前や真名井社でも八撥を奉納し、旧社地の大斎原を遥拝して帰路につきます。行き来する道は険しい山道で、幼子を肩に載せたまま越えていく父親たちの姿は、この神事の象徴的な光景です。湯の峰温泉がなぜ熊野詣の禊の地とされてきたのかが、実感として伝わってきます。
大斎原へ向かう渡御祭
4月15日は本殿祭に続いて渡御祭が行われ、例大祭は最高潮を迎えます。神輿と供奉の列が熊野本宮大社を出て、旧社地である大斎原へと向かうのです。大斎原は熊野川の中州に開けた広大な旧境内で、現在は大鳥居が立っています。
大斎原では地元の児童による大和舞が奉納され、巫女の舞も披露されます。稚児たちが担うのは御田植神事です。4基の挑花と神輿の前に、4本の杭と注連縄で囲った3メートル四方ほどの空間を神田に見立て、鋤持ち・朳持ち・苗持ちの男子と花笠をかぶった早乙女の女子が、その年の豊作を祈ります。さらに修験者による護摩焚きが行われ、最後は餅投げでにぎわいます。桜の名残と新緑が入り混じる季節、広い河原に人の声と太鼓が響きわたります。
熊野三山の中心で受け継がれる祭り
熊野本宮大社は熊野三山の1つで、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産です。この例大祭のうち湯登神事と御田祭は、昭和41年4月12日に和歌山県の無形民俗文化財に指定され、令和元年5月24日に追加指定と名称変更が行われました。
熊野詣の中心地で、稚児という最も幼い存在に神を宿らせ、温泉で清め、山を越え、旧社地で稲作を祈る。熊野信仰と土地の暮らしが1本の線でつながっていることが、3日間を通して見えてきます。熊野本宮大社を訪ねたことのある方ほど、祭りの日の境内の違いに驚くはずです。
楽しみ方のコツ
3日間のうち、行事が最も分かりやすく、多くの人が集まるのは15日の渡御祭です。神社から大斎原までの道筋で行列を待つのが基本の見方になります。13日の湯登神事は湯の峰温泉と山道を移動していくため、追いかけるにはある程度の歩行力が必要です。無理をせず、湯之峯王子社での八撥の奉納に絞って待つのが現実的でしょう。
4月中旬の本宮は朝晩がまだ冷えます。羽織るものを1枚用意し、大斎原は広い河原で日陰が少ないので帽子もあると安心です。稚児が主役の神事なので、小さな子ども連れでも共感しやすい祭りですが、行列の進路をふさがないよう注意してください。
アクセス
熊野本宮大社へは、JRきのくに線の新宮駅からバスで約60分、紀伊田辺駅からバスで約2時間10分で、いずれも「本宮大社前」バス停から徒歩約6分です。白浜温泉からは明光バスの熊野古道特急バスで約90分。山あいのため便数が限られ、特に午前中の到着便は少ないので、時刻表を先に確認しておくことをおすすめします。駐車場はありますが、渡御祭の当日は大変混雑します。
祭りの実用情報
- 開催時期:毎年4月13日から15日(13日 湯登神事・宮渡神事/14日 産田社例祭/15日 本殿祭・渡御祭)
- 会場:熊野本宮大社および大斎原(〒647-1731 和歌山県田辺市本宮町本宮1110)
- 主催・問い合わせ:熊野本宮大社 0735-42-0009
- アクセス:JR新宮駅からバス約60分、JR紀伊田辺駅からバス約2時間10分、いずれも「本宮大社前」下車徒歩約6分。白浜温泉から熊野古道特急バスで約90分
- 駐車場:あり
- 文化財:「熊野本宮の湯登神事・御田祭」は和歌山県指定無形民俗文化財(昭和41年4月12日指定、令和元年5月24日追加指定・名称変更)
- 料金:観覧無料
- 公式サイト:https://www.hongutaisha.jp/
※日程・内容・料金は変更される場合があります。おでかけ前に公式サイトで最新情報をご確認ください。
(出典:熊野本宮大社公式サイト、熊野三山協議会公式サイト、熊野本宮観光協会公式サイト、わかやまの文化財(和歌山県)、和歌山県公式観光サイト)
📍 場所・アクセス
🧭 この記事に関連する特集
✍️ この記事について
この記事は、施設・社寺の公式サイトや、市区町村・観光協会が公開する観光案内、 国や自治体が公表する文化財・名勝の資料など、公的・一次情報をもとにたびたびJAPAN編集部が調べ、旅の計画に役立つ形に整理して作成しています。 料金・営業時間・開催日程などは変更される場合がありますので、お出かけの際は各施設・自治体の公式情報も併せてご確認ください。 編集方針の詳細