熊野速玉大祭|御船祭の早船競漕と日程【和歌山】
和歌山県新宮市の熊野速玉大社で、毎年10月15日と16日に行われる例大祭が熊野速玉大祭です。初日は御神霊を神馬に奉安して御旅所へ渡る神馬渡御式、2日目は神輿と神幸船で熊野川を渡御する御船祭。とりわけ9隻の早船が御船島を目指して競い漕ぐ場面は、南紀随一の船祭りとして知られます。2016年3月2日に「新宮の速玉祭・御燈祭り」として国の重要無形民俗文化財に指定されました。
神馬が御旅所へ向かう10月15日
初日は午前11時の本殿大前ノ儀から始まります。全国からの参拝者が見守るなか、神なぎの舞が奉奏され、朱塗りの社殿に楽の音が満ちていきます。
午後2時、神馬渡御式。御神霊を戴いた神馬が、供奉の列とともに御旅所へと進みます。装束をまとった一行がゆっくりと町を行くさまは、時代が一枚めくれたような光景です。午後4時30分からは、御旅所の杉ノ仮宮でお旅所神事。日が傾き、あたりが薄暗くなるころに斎行されるため、灯りに照らされた仮宮の姿が強く印象に残ります。神馬渡御式は国の無形民俗文化財として位置づけられており、静かでありながら祭りの根幹をなす神事です。
熊野川を9隻が競う御船祭
2日目、10月16日の午後2時に神輿渡御式が行われ、御神霊は神輿と船で御旅所へ向かいます。そして午後4時30分、この祭りの代名詞である御船祭が始まります。
舞台は熊野川。河口からおよそ1.6キロ上流に浮かぶ御船島をめぐって、9隻の早船が先を争います。1隻に11人が乗り込み、「ヤッサ、ヤッサ」の掛け声を揃えて櫂を入れる。水面を叩く音と掛け声が川面に反響し、両岸からは歓声が上がります。美しく飾られた神幸船を先導するかたちで競漕が繰り広げられるため、単なるレースではなく神事としての緊張感が最後まで途切れません。午後5時30分からは神輿所の杉ノ仮宮でお旅所神事が営まれ、松明の灯りのもとで2日間の大祭が結ばれます。
熊野三山の一社で受け継がれる祭礼
熊野速玉大社は熊野川の河口近くに鎮座し、境内は世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の登録地です。約2000年前に神倉山から現在地に遷されたとの説が伝えられ、蒔絵手箱や装束、檜扇などの国宝古神宝類、樹齢1000年を超えるナギの御神木でも知られます。
この大祭を支えるのは熊野速玉大社祭事保存会で、同じ保存団体が2月の御燈祭りも受け継いでいます。川の祭りと火の祭りが1つの神社を軸に対をなしているところに、熊野という土地の奥行きがあります。ふだんの熊野速玉大社を訪ねておくと、祭りの日の境内の変わりようがよくわかります。
楽しみ方のコツ
見どころの中心は16日午後4時30分の御船祭ですが、これは熊野川の川べりで見る行事です。土手や河川敷は日陰が少なく、遮るものもありません。10月とはいえ日中は暑くなる年もあり、逆に川風で冷えることもあるため、羽織るものを1枚持っていくと安心です。双眼鏡があると早船の動きを追いやすくなります。
15日の神馬渡御式や16日夕方のお旅所神事は、比較的落ち着いて拝観できます。混雑を避けたい方や高齢の家族と一緒の場合は、こちらを軸に組み立てるとよいでしょう。2日間とも行事は午後に集中するので、午前中に境内や神宝館をゆっくり見ておく回り方が効率的です。
アクセス
熊野速玉大社はJRきのくに線の新宮駅から徒歩20分ほどです。境内には駐車場がありますが台数は限られており、祭りの当日は早い時間に埋まります。御船祭の観覧は熊野川沿いになるため、駅から歩いて境内を参拝し、そのまま川べりへ移動するという動き方が現実的です。新宮市内は主要な見どころが徒歩圏に集まっているので、鉄道での来訪が最も動きやすくなります。
祭りの実用情報
- 開催時期:毎年10月15日・16日
- 主な時程:15日 午前11時 本殿大前ノ儀/午後2時 神馬渡御式/午後4時30分 お旅所神事。16日 午後2時 神輿渡御式/午後4時30分 御船祭/午後5時30分 お旅所神事
- 会場:熊野速玉大社および熊野川(〒647-0081 和歌山県新宮市新宮1)
- 主催・問い合わせ:熊野速玉大社 0735-22-2533
- アクセス:JRきのくに線 新宮駅から徒歩約20分
- 駐車場:あり(台数に限りがあります)
- 文化財:国指定重要無形民俗文化財「新宮の速玉祭・御燈祭り」(2016年3月2日指定、保護団体:熊野速玉大社祭事保存会)
- 料金:観覧無料
- 公式サイト:https://kumanohayatama.jp/
※日程・内容・料金は変更される場合があります。おでかけ前に公式サイトで最新情報をご確認ください。
(出典:熊野速玉大社公式サイト、和歌山県公式サイト、新宮市観光協会公式サイト、和歌山県公式観光サイト、文化遺産オンライン(文化庁))
📍 場所・アクセス
🧭 この記事に関連する特集
✍️ この記事について
この記事は、施設・社寺の公式サイトや、市区町村・観光協会が公開する観光案内、 国や自治体が公表する文化財・名勝の資料など、公的・一次情報をもとにたびたびJAPAN編集部が調べ、旅の計画に役立つ形に整理して作成しています。 料金・営業時間・開催日程などは変更される場合がありますので、お出かけの際は各施設・自治体の公式情報も併せてご確認ください。 編集方針の詳細