壬生の花田植|飾り牛と早乙女の見どころと日程【広島】
広島県山県郡北広島町壬生で、毎年6月の第1日曜日に行われる田植えの神事です。1976年に国の重要無形民俗文化財に指定され、2011年にはユネスコ無形文化遺産に登録されました。飾り鞍を背負った牛が代をかき、絣の着物に菅笠の早乙女が田植歌に合わせて苗を植えていく——西日本に残る花田植としては最大規模とされ、初夏の山あいの町が1年でもっともにぎわう日です。田んぼそのものが舞台になる、いまでは稀な光景が見られます。
飾り牛が町を歩く道行
祭りは午前中、壬生神社に集まった飾り牛の行列から始まります。色鮮やかな花鞍を背負い、頭にも飾りをつけた黒毛の牛が、早乙女や囃子方とともに商店街を抜けて田んぼへ向かう「道行」です。北広島町観光協会によると、現在は町内と周辺からおよそ12頭から13頭が参加します。かつては20頭を超えた年もあったといいます。先頭を歩くのは「おも牛」と呼ばれる一頭で、堂々とした体つきの牛が選ばれてきました。牛の足が土を踏む重い音、鞍につけられた飾りが揺れる音、それを見ようと歩道からのぞき込む人の声。行列は思いのほか近くを通るので、牛の息づかいや草のような匂いまで届きます。商店街の区間は牛と演者を間近に見られる絶好の場所です。
田植歌と囃子が響く本田植
午後になると、いよいよ田んぼでの田植えが始まります。指揮を執るのは「サンバイ」と呼ばれる役で、絣の着物に菅笠をかぶり、竹を割って作ったささらを鳴らしながら音頭を取ります。大太鼓、小太鼓、手打鉦、笛の囃子が加わり、その拍に合わせて早乙女たちが横一列に並んで苗を植え、田植歌を返していきます。水を張った田は空を映し、代かきを終えた泥の匂いが立ちのぼります。歌と鉦と、苗が水面に刺さるかすかな音。田んぼ一枚が音楽で満たされ、農作業がそのまま芸能になっていることが実感できます。芸北地方では田の神を「サンバイ」と呼び、その年の豊作を願ってこの神事が続けられてきました。
数百曲を伝える田植歌
花田植の芯にあるのは、口伝えで受け継がれてきた田植歌です。北広島町観光協会は、朝歌・昼歌・上がり歌など数百曲が伝わるとしています。田植えの進み具合や時間帯によって歌う曲が変わり、サンバイが歌い出すと早乙女が受けて返す掛け合いで進みます。指定の歩みも長く、まず1959年に川東はやし田が、1975年に壬生はやし田が広島県の無形民俗文化財となり、1976年に「壬生の花田植」として国の重要無形民俗文化財に。そして2011年にユネスコ無形文化遺産に登録されました。同じ日には神楽の公演も行われ、芸北の芸能を一日でまとめて味わえます。
楽しみ方のコツ
見どころは午前の道行と午後の本田植の2つで、間にかなりの時間が空きます。商店街で牛の行列を間近に見てから昼食をとり、午後に田んぼへ移動する、という組み立てが無理がありません。会場は屋外の田園地帯で、日除けになるものがほとんどありません。帽子、日焼け止め、飲み物は用意しておきたいところ。あぜ道や砂利の上を歩くので、汚れてもよい歩きやすい靴が向いています。梅雨入りの時期と重なる年もあるため、雨具も1つ入れておくと安心です。牛は生き物ですから、フラッシュ撮影や急な動きは避け、係員の指示に従って観覧してください。
アクセス
車の場合は中国自動車道の千代田ICが最寄りです。当日は北広島町役場と道の駅舞ロードIC千代田の駐車場から会場行きの無料シャトルバスが運行されるため、会場へ直接乗り入れず、いずれかに駐車してシャトルバスを使うよう案内されています。公共交通なら、広島バスセンターなどから中国自動車道を通る高速バスで「千代田インター」下車。道の駅舞ロードIC千代田がすぐそばにあり、そこからシャトルバスに乗り継げます。県北の自然を組み合わせるなら三段峡も同じ広島県西北部です。
祭りの実用情報
- 開催時期:毎年6月の第1日曜日
- 会場:壬生商店街および花田植会場(広島県山県郡北広島町壬生157)
- 主催・問い合わせ:壬生花田植保存会/北広島町観光協会(電話 0826-72-6908)、芸北民俗芸能保存伝承館(電話 0826-72-5088)
- アクセス:中国自動車道 千代田ICから車。高速バス「千代田インター」下車
- 駐車場:会場に一般用の駐車場はありません。北広島町役場、道の駅舞ロードIC千代田の駐車場を利用し、無料シャトルバスで会場へ向かいます
- 指定:国の重要無形民俗文化財(1976年指定)、ユネスコ無形文化遺産(2011年登録)
- 公式サイト:https://www.town.kitahiroshima.lg.jp/site/hanadaue/
※日程・内容・料金は変更される場合があります。おでかけ前に公式サイトで最新情報をご確認ください。
(出典:北広島町公式ホームページ、北広島町観光協会公式サイト、広島県公式ウェブサイト)
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