尾道ベッチャー祭|鬼が追う奇祭の日程と見どころ【広島】
広島県尾道市の吉備津彦神社(地元では一宮神社と呼ばれます)の大祭として、毎年11月1日から3日まで行われる祭りです。ベタ・ショーキー・ソバという3体の鬼と獅子が神輿とともに町へ繰り出し、子どもを追いかけ回すという、全国的にも珍しい形をしています。尾道市の無形民俗文化財に指定され、坂と路地の入り組んだ港町に、太鼓の音と子どもの悲鳴のような歓声が3日間響き渡ります。秋の尾道を代表する行事です。
鬼に追いかけられる子どもたち
この祭りの主役は、間違いなく鬼です。氏子が面をかぶってベタ・ショーキー・ソバに扮し、獅子とともに市内を練り歩きます。鬼が手にしているのは「ささら」と呼ばれる竹を割った道具と、「祝棒」と呼ばれる棒。ささらで頭をたたかれると賢くなり、祝棒で突かれると子宝に恵まれ、1年を健やかに過ごせると伝えられています。ご利益とはいえ、鬼に本気で追われる子どもは全力で逃げます。商店街のアーケードに逃げ込む子、親の背中に隠れる子、泣き出す子。追う鬼と逃げる子どもが入り乱れ、笑い声と泣き声と太鼓が同時に鳴っている光景は、ほかの祭りではなかなか見られません。大人も容赦なく突かれるので、見物人も油断はできません。鬼が通り過ぎたあとの通りには、まだ笑いの余韻が残っています。
3日間かけて町を巡る神輿
祭りは3日間の構成になっています。11月1日の夜、一宮神社を出た神輿が町へ渡御し、御旅所へ入ります。2日には大祭式典が営まれ、夜には浦安の舞の奉納や、奉納ベッチャー太鼓の演奏が行われます。そして3日、朝から夕方まで、神輿と鬼が尾道の市街地をくまなく巡行します。センター街から栗原本通り、天満町、久保、長江通りへと、坂の街の路地を縫うように進み、夕方に一宮神社へ還御して祭りが終わります。海沿いの平坦な商店街と、山側の急な坂道の両方を巡るため、同じ祭りでも見る場所によってまったく表情が変わるのが尾道らしいところです。狭い路地に太鼓の音が反響し、瀬戸内の潮の匂いと入り混じります。
疫病退散の祈りから始まった
由来は江戸時代にさかのぼります。尾道市の観光情報によれば、文化4年(1807年)、尾道に流行した疫病の平癒を祈って始められたと伝えられます。当時の町奉行・南部藤左衛門が、三日三晩にわたり社寺で祈願させたことが祭りの起こりとされ、いまも3日間という日程にその名残が残ります。舞台となる吉備津彦神社は、南北朝時代の至徳年間(1384〜1387年)に祭祀が始まったと伝わる古社で、吉備津彦命を祀ります。疫病退散という切実な願いが、鬼が子どもを追いかける独特の形になって現代まで受け継がれてきました。
楽しみ方のコツ
いちばん見応えがあるのは、市街地を終日巡行する11月3日です。巡行のルートと時刻はおおよそ決まっているので、公式サイトの祭事予定を見て、追いかけるのではなく先回りして待ち構えるのが確実です。子ども連れの場合は、鬼にたたかれること自体が縁起物ですが、幼い子は本気で怖がることがあります。事前に「たたかれると賢くなるらしいよ」と伝えておくと受け止め方が変わります。11月初旬の尾道は日中は歩くと汗ばみ、日が落ちると一気に冷えるので、羽織るものを1枚。坂道と石段が多い町なので、歩きやすい靴で出かけてください。祭りのあとは尾道の古寺めぐりや猫の細道とあわせて歩くのもおすすめです。
アクセス
拠点となる吉備津彦神社(一宮神社)は、JR尾道駅から国道2号を東へ徒歩10分ほど。尾道駅は山陽本線の駅で、新幹線を利用する場合は新尾道駅からバスに乗り継ぎます。3日の巡行は尾道駅前から長江口までの市街地一帯が舞台になるため、駅を起点にして歩いて回れます。巡行にあわせて市街地では交通規制が入るので、車での来訪は避け、鉄道を使うのが無難です。祭りの3日間は市街地全体がにぎわうため、時間に余裕を持って訪れてください。
祭りの実用情報
- 開催時期:毎年11月1日〜3日
- 会場:吉備津彦神社(一宮神社/広島県尾道市東土堂町9-16)および尾道市街地一帯
- 主催・問い合わせ:ベッチャー祭保存会(電話 0848-22-2320)
- アクセス:JR尾道駅から国道2号を東へ徒歩約10分
- 駐車場:祭り専用の駐車場はありません。市街地の有料駐車場を利用してください
- 指定:尾道市の無形民俗文化財
- 公式サイト:https://onomichi.main.jp/betcha/
※日程・内容・料金は変更される場合があります。おでかけ前に公式サイトで最新情報をご確認ください。
(出典:尾道ベッチャー祭公式サイト、尾道市観光情報サイト おのなび)
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