岡山の桃・マスカット|晴れの国が育むフルーツ狩り
岡山県は、年間を通して晴れの日が多いことから「晴れの国おかやま」と呼ばれ、その温暖な気候と肥沃な岡山平野が、日本でも屈指の高品質なフルーツを育んでいます。とろけるような白桃と、上品な甘みと香りで知られるマスカット・オブ・アレキサンドリアは、岡山を代表する二大フルーツです。初夏から秋にかけて、県内各地の観光農園では、もぎたての果実をその場で味わえるフルーツ狩りが楽しめ、多くの観光客でにぎわいます。
白桃が育つ理由
岡山の白桃は、ひとつひとつの果実に袋をかけて丁寧に育てる「袋がけ栽培」によって、白く美しい肌と繊細な甘みを実現しています。強い日差しを和らげながら大切に育てられた桃は、皮が薄く、果汁があふれるほどジューシーで、口に含むととろけるような食感が広がります。岡山市の一宮地区で生まれた清水白桃(しみずはくとう)をはじめとする品種は贈答用としても人気が高く、岡山が誇る夏の味覚として全国に知られています。清水白桃の出荷時期の目安は7月下旬から8月中旬です。
岡山と桃、150年の歩み
岡山の桃づくりは、思いのほか新しい歴史から始まっています。岡山県によると、県内で本格的な桃の栽培が始まったのは明治8年(1875年)、中国から「天津水蜜(てんしんすいみつ)」「上海水蜜(しゃんはいすいみつ)」を導入したことがきっかけでした。そして明治32年(1899年)、岡山で「白桃」が発見されます。県の説明では、その改良種にあたる白鳳やあかつきは現在では山梨県や福島県でも生産されており、岡山生まれの白桃が各地の桃づくりの土台になったことがうかがえます。
白桃を見出したのは、岡山市によれば大久保重五郎という人物です。慶応3年(1867年)に現在の岡山市東区瀬戸町にあたる村の農家に生まれ、青年時代に果樹園芸を学び、明治32年に上海桃の実生から新品種「白桃」を発見しました。その後は研究所に招かれて園芸を担当し、噴霧器や剪定ばさみを考案するなど果樹園芸の発展に尽くし、昭和2年(1927年)には新品種「大久保桃」を生み出しています。なお、いま「岡山の桃」の代名詞として知られる清水白桃が誕生したのは、昭和7年(1932年)のことでした。
袋がけという手仕事
岡山の白桃を白く育てるのが、産地で受け継がれてきた「袋がけ」です。岡山観光WEBの解説によれば、実がピンポン玉ほどの大きさになる6月ごろから、一つひとつの実に手作業で袋をかぶせていきます。これは日光をやわらげるためだけの作業ではありません。桃を傷つける風や雨、虫からも実を守るための手当てで、袋の中で守られながら育つことで、あの白く美しい肌の桃になるのです。一つの園地に実る膨大な数の桃すべてに袋をかけると考えると、産地がどれほど手間をかけているかが実感できます。
桃を買える場所と旬の合わせ方
もぎたてを味わうなら観光農園ですが、産地ならではの買い物を楽しむなら直売所めぐりもおすすめです。岡山観光WEBは、倉敷市玉島地区の「玉島ピーチロード」を紹介しています。ここは岡山県の桃の三大生産地のひとつとされる地域で、通り沿いに桃農家や問屋の直売所が軒を連ねます。収穫の最盛期は7月中旬から8月中旬ですが、品種によっては6月から9月ごろまで出荷のリレーが続きます。JA晴れの国岡山 玉島北直売所のように、「おかやま夢白桃」「白麗」など複数の品種を扱う直売所もあります。
覚えておきたいのは、桃は1品種あたりの収穫期がおよそ2週間ほどと短いということです(岡山観光WEB)。「清水白桃が食べたい」「白麗を選びたい」といった目当てがある場合は、その旬に合わせて日程を組むのが確実です。収穫時期は天候で前後するため、出発前に農園や直売所へ問い合わせておくと安心でしょう。
果樹園での過ごし方のコツ
写真を撮るなら、葉の緑を背景に、袋を外したばかりの実を斜め上からねらうと立体感が出ます。日差しの強い日中は影が濃く出るため、木陰を生かしたり、午前中のやわらかな光を選ぶと色がきれいに写ります。また、果樹園は農家の生産の現場です。案内された区画や実以外に手を出さない、枝を引っ張らない、脚立や設備に勝手に触れないといった基本を守り、現地のルールに従って楽しみましょう。
マスカットとぶどう狩り
岡山はマスカット・オブ・アレキサンドリアの国内有数の産地で、温室で大切に育てられた粒の大きなぶどうは「果物の女王」とも称されます。近年は皮ごと食べられるシャインマスカットも人気を集め、観光農園ではさまざまな品種のぶどう狩りを楽しめます。たわわに実った房を自分で選んで収穫し、その場で頬張る瞬間は格別で、お子さま連れの家族旅行にもぴったりの体験です。
ベストシーズンとアクセス
岡山市によると白桃の出荷時期の目安は品種により7月上旬から8月中旬で、桃狩りもこの時期が中心です。ぶどう狩りは8月から10月ごろが目安です。アクセスは、JR岡山駅を拠点に、赤磐(あかいわ)や倉敷、総社(そうじゃ)など県内各地の農園へ車で向かうのが便利です。多くの農園は事前予約制となっているため、訪れる前に開園状況や品種の収穫時期を確認しておくと安心です。太陽の恵みをたっぷり浴びた岡山のフルーツを、ぜひ現地で味わってみてください。
訪問の実用情報
- 見頃・ベストシーズン:岡山市が公表する白桃の出荷時期の目安は、加納岩白桃が7月上旬〜7月中旬、白鳳が7月中旬〜7月下旬、清水白桃が7月下旬〜8月中旬、おかやま夢白桃と白麗が8月上旬〜8月中旬。桃狩りもこの時期が中心です。ぶどう狩りは8月から10月ごろが目安です。
- 品種:岡山県は、マスカット・オブ・アレキサンドリア(「果物の女王」とも呼ばれる)、生産量日本一のピオーネ、シャインマスカット、瀬戸ジャイアンツ、オーロラブラック、紫苑など多彩なぶどうの産地です。清水白桃は岡山市の一宮地区で誕生しました。
- アクセス:JR岡山駅を拠点に、赤磐・倉敷・総社など県内各地の観光農園へ車で向かうのが便利です。
- 予約:多くの観光農園は事前予約制です。収穫時期は天候によって前後するため、訪れる前に各農園へ開園状況と収穫できる品種を必ず確認してください。
- 服装・装備:真夏の果樹園は高温多湿になり、とくに温室・ハウス内は気温が上がります。帽子・こまめな水分補給など熱中症対策を。足元は土やぬかるみになることがあるため歩きやすい靴で。
- 禁止事項・安全:果樹園は農家の生産の場です。指定された区画以外に立ち入らない、案内された房や実以外をもぎ取らない、枝を折らない、持ち帰りは各農園のルールに従うなど、現地の指示を守ってください。
(出典:岡山市「岡山の白桃」/岡山県 農産課「おかやまのくだもの(くだもの王国おかやま)」/岡山県古代吉備文化財センター「岡山と桃」)
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