由比の桜えび|駿河湾が育む春の宝石
桜えびは駿河湾でのみ水揚げされる希少な小エビで、由比はその主要な水揚げ港として知られています。透き通る桜色の身は上品な甘みと香ばしさを持ち、生でもかき揚げでも絶品です。漁期になると港町は活気づき、新鮮な桜えび料理を求める人でにぎわいます。桜えび漁の始まりは一八九四年(明治二十七年)。由比の漁師がアジ漁に出た折、浮樽を積み忘れて網が深く沈み、思いがけず大量の桜えびが獲れたのがきっかけと伝わります。桜えびをねらう船曳網漁が許されているのは今も駿河湾の由比港と大井川港だけ。全国でここでしか揚がらない、まさに駿河湾の宝石です。
見どころ
獲れたての桜えびを使った生桜えび丼は、とろけるような甘みが魅力です。サクサクのかき揚げは香ばしく、ご飯にもそばにもよく合います。釜揚げや沖漬けなど、調理法ごとに異なる食感と風味を楽しめます。殻ごと丸ごと食べられる桜えびはカルシウムやうまみが豊富で、かき揚げにすればサクッとした食感とともに、香ばしい海の香りが口いっぱいに広がります。国内の桜えびの水揚げは駿河湾産のみで、由比・蒲原の一帯では春に桜えびを天日に干す「桜えびの天日干し」が風物詩として知られています。
夜の海に浮かぶ漁と、旬の違い
桜えびは昼間、駿河湾の水深二〜三百メートルの深みにひそみ、夜になると水深数十メートルまで浮き上がってきます。漁はその習性に合わせた夜間操業で、二そうの船が力を合わせて網を曳く「二そう船曳網」で行われます。春漁(三月末〜六月初旬)の桜えびは富士山の雪解け水が注ぐ海で育ち、身が大きく甘みが濃いのが持ち味。秋漁(十一月〜十二月)はまた違った締まった味わいが楽しめます。同じ桜えびでも季節でここまで表情が変わるのかと、旬を選んで通う人も少なくありません。
富士川に広がる桜色の絨毯
漁のあった翌朝、由比・蒲原の富士川河川敷では、水揚げされた桜えびを一面に広げて干す「天日干し」の光景が見られます。朝七時ごろから干し始め、昼過ぎに取り込むまでのわずかな時間、富士山を背にピンク色の絨毯を敷き詰めたような絶景が広がり、春と秋の風物詩として写真愛好家にも人気です。食べ方も多彩で、とろける甘みの生桜えび丼、サクサクと香ばしいかき揚げ、旨みを凝縮した釜揚げや沖漬けと、小さな一尾から何通りもの味に出会えます。
季節の楽しみ方
桜えび漁は春(3月末〜6月初旬)と秋(11月〜12月)の年二回行われ、この時期は生の桜えびが味わえる貴重なチャンスです。春漁の桜えびは富士山の雪解け水で育ち、実が大きく甘いのが特長とされます。漁のない期間は釜揚げや乾物で通年楽しめます。春は桜の季節とも重なり、由比の風景とともに味わうのが格別です。
アクセス・基本情報
JR由比駅周辺に桜えび料理の専門店が点在し、東海道本線でアクセスできます。駅から少し歩くと漁港や食事処があり、海を眺めながら味わえます。丼やかき揚げの定食は千円前後から味わえる店が多く、気軽に立ち寄れる価格帯です。漁期は混み合うため、早めの来店が安心です。
旅の実用メモ
生の桜えびは水揚げがあってこそ味わえるもので、天候や漁の状況によっては提供されない日もあります。旬の生桜えび丼を目当てにするなら、漁期(春・秋)を選んで訪れ、可能なら事前に提供状況を確かめておくと安心です。漁がない日でも、釜揚げやかき揚げなら通年楽しめるので、生にこだわらなければいつ訪れても桜えびの味に出会えます。由比駅から漁港エリアへは少し歩くため、海沿いの景色を楽しみながら向かうのがおすすめです。由比は旧東海道の宿場町でもあり、駿河湾越しに富士山を望む景観が広がるので、食事と合わせて周辺を散策する価値があります。とりわけ由比と興津の間にある薩埵峠は、歌川広重が浮世絵に描いたことでも名高い富士の展望地。駿河湾に裾を落とす富士と、その足元を行き交う船を一望できる眺めは、桜えびの旅の締めくくりにふさわしい絶景です。同じ駿河湾の恵みである焼津のかつおや沼津のしらすとも近いエリアなので、海の幸を巡る一日の行程に組み込みやすいのも魅力です。春の漁が本格化するころには由比港周辺で桜えびまつりも開かれ、旬の味を求める人々でいっそうにぎわいます。
ひとことアドバイス
旬の時期に訪れるなら、ぜひ生桜えび丼を注文してみてください。生は漁次第で提供されない日もあるため、確実に味わいたいなら釜揚げやかき揚げとの食べ比べセットを選ぶと、桜えびの多彩な魅力を一度に堪能できます。春漁は身が大きく甘いとされるので、季節を選ぶなら春もおすすめです。
お土産・持ち帰りのヒント
由比の桜えびは、駿河湾でのみ水揚げされる希少な小エビで、透き通る桜色の身と上品な甘みが自慢。由比はその主要な水揚げ港として知られ、旬の生桜えびやかき揚げ、桜えびごはんで濃厚なうまみを味わえます。旬は春と秋の漁期。生は日持ちしませんが、素干しや釜揚げの桜えびは日持ちがよく、由比・蒲原の土産店・通販で手に入り、手土産や取り寄せにも向きます。静岡・由比で、名物の桜えびを味わうのがおすすめです。
📚 情報の参照元
本記事は静岡県の観光案内および各店が公表する情報をもとにまとめています。価格やメニュー・旬は変わることがあるため、詳細は各店の公式情報でご確認ください。
観光のチェックリスト
- 予算の目安: かき揚げ・丼で千円前後〜
- 食べられる場所: 由比・蒲原の食堂・料理店、漁港周辺
- おすすめの時間帯: 昼が中心。春・秋の漁期に
- 混雑対策: 漁期の週末は混みやすい。時間をずらして
- あわせて楽しみたい: 素干し桜えびの土産、由比宿の街道、薩埵峠、駿河湾の富士山
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