富山県グルメ|ます寿司・白えび・ブリしゃぶ
富山県は、水深1000mを超える深い湾「富山湾」を擁し、「天然のいけす」と称されるほど豊かな海の幸の宝庫です。立山連峰の雪解け水が注ぎ込む湾には、季節ごとに極上の魚介が集まります。新鮮な海の幸から個性派ご当地グルメまで、食の魅力が尽きない富山の味覚を紹介します。
ます寿司
富山を代表する郷土料理。脂ののったサクラマスを酢飯の上に敷き詰め、笹の葉で包んで曲げわっぱに丸く詰めた押し寿司です。鮮やかな紅色と笹の爽やかな香りが食欲をそそります。富山駅の売店でも買える定番のお土産で、店ごとに味や酢加減が異なるので食べ比べも楽しめます。
白えびと寒ブリ
「富山湾の宝石」と呼ばれる白えびは、透き通った淡いピンク色の美しさと、ねっとりとした上品な甘みが絶品。刺身・かき揚げ・寿司で味わえます。冬の主役は、富山湾で獲れる脂ののった「寒ブリ」。薄切りをさっと湯にくぐらせる「ブリしゃぶ」は、甘くとろける食感とポン酢のさっぱり感が最高の組み合わせです。
ほたるいかと富山ブラック
春先には、青白く神秘的に光る「ほたるいか」が富山湾に押し寄せ、沖漬けや酢味噌和え、天ぷらで楽しめます。なお厚生労働省の通知により、生食用のホタルイカは内臓を除去するか、−30℃で4日間以上・中心温度−35℃で15時間以上・−40℃で40分以上のいずれかの凍結処理を行うこととされています。生食用以外は沸騰水に投入後30秒以上、または中心温度60℃以上の加熱が必要です。内臓ごと生で食べると旋尾線虫幼虫移行症のおそれがあるため、浜で自分ですくったものをそのまま生食するのは避けてください。一方、真っ黒な醤油スープと太麺が特徴の「富山ブラックラーメン」は、濃厚でパンチのある一杯。観光客にも大人気のご当地ラーメンです。
ベストシーズン
富山県公式観光サイト「とやま観光ナビ」によると、富山湾ではホタルイカ漁が3月、シロエビ漁が4月に解禁され、シロエビ漁を行うのは毎年4〜11月と定められています。ブリは氷見魚ブランド対策協議会が例年11月末ごろに「ひみ寒ぶり宣言」を出し、翌年2月ごろの終了宣言までが旬の目安です。季節を変えて訪れれば、その時々の旬の幸に出会えます。
アクセス情報
富山市内の総曲輪(そうがわ)・桜木町周辺に名店が集中。新湊・氷見の漁港周辺では、水揚げされたばかりの新鮮な海の幸を味わえます。
昆布〆(こんぶじめ)|北前船が運んだ食文化
農林水産省「うちの郷土料理」によると、昆布で新鮮な刺身を挟んだ「昆布〆」は、江戸時代に北前船が運んできた北海道の昆布と、富山湾で獲れる魚を組み合わせて生まれた一品です。昆布が魚の余分な水分を吸うため、冷蔵庫のなかった当時は生魚を保存する手段でしたが、昆布のうま味が移って身が締まり、程よい弾力が生まれることから、保存食の枠を超えた味わいとして定着しました。伝承地域は県内全域。富山で料理に使う昆布の大半は北海道産の羅臼昆布で、これは明治時代に開拓のため北海道へ渡った富山県民の多くが羅臼地方に住み、特産の羅臼昆布を富山の親戚などへ送ったことが理由のひとつといわれています。
ネタは県内で「サス」と呼ばれるカジキが定番ですが、タイやヒラメといった白身魚、富山名産のシロエビやホタルイカも使われます。シロエビの昆布締めは、県が選ぶふるさと認定食品にもなっています。近年はすす竹・よし菜・ワラビなど山菜を使った昆布〆も人気を集めています。家庭でつくる人もいますが、スーパーや土産店、昆布専門店でも手軽に購入できます。
黒づくり|加賀藩ゆかりの黒い珍味
「黒づくり」は、スルメイカの身を細かく切り、イカスミとともに熟成させた塩辛の一種です。漆黒に光る独特の見た目に驚く人も多い珍味ですが、加賀藩主が参勤交代の際に将軍家へ献上したという文書も残されており、古くからの名産品であったことがわかります(農林水産省「うちの郷土料理」)。一般的な塩辛である「赤づくり」に比べて生臭さが少なく、塩味がまろやかに感じられるのが特徴とされ、酒の肴にするほか、炊きたてのご飯にのせたり、お茶漬けにしたりと食べ方も自在です。
使われるスルメイカは、定置網によって主に氷見漁港と新湊漁港で水揚げされたもの。富山湾のホタルイカを使った「ホタルイカ黒作り」もあり、こちらも人気があります。県内のさまざまなメーカーが手がけているため、スーパー・百貨店・土産店で種類豊富に選べるのもうれしいところです。
五感で味わう富山湾の食卓
ます寿司は、曲げわっぱの蓋を開けた瞬間に立ちのぼる笹の青い香りが、まず旅情をかき立てます。笹を一枚ずつ開いていくと、下から薄紅色の身が現れる——この開封の時間そのものが、富山ならではの食体験です。白えびは、光にかざすとほのかに桃色に透けるほど繊細で、口に含むととろけるようになめらか。ブリしゃぶは、薄切りの身を湯にくぐらせた瞬間に白く花のように開き、その色の変化を目で楽しんでから引き上げます。黒づくりの漆黒、昆布〆の飴色に透ける身、ホタルイカの藍色と、富山の食卓は色数が豊かで、写真に収めても絵になる一皿がそろいます。
買って帰るなら
ます寿司は富山駅の売店や市内の各店で購入でき、店ごとに酢加減や身の厚みが異なるため、食べ比べを目当てに何軒か回る人も少なくありません。昆布〆や黒づくりは要冷蔵の商品が中心なので、保冷剤や保冷バッグを用意し、表示された保存方法と消費期限を必ず守ってください。なお昆布〆に使った昆布は、佃煮や煮物などに再利用されることもあり、北前船が運んだ昆布を無駄なく使い切る富山の食文化の奥深さがうかがえます。
訪問の実用情報
- 旬の時期:富山県公式観光サイト「とやま観光ナビ」によると、富山湾ではホタルイカ漁が3月、シロエビ漁が4月に解禁され、シロエビ漁を行うのは毎年4〜11月と定められています。ブリは氷見魚ブランド対策協議会が例年11月末ごろに「ひみ寒ぶり宣言」を出し、翌年2月ごろの終了宣言までが旬の目安です。
- 主な提供エリア:富山市内(総曲輪・桜木町周辺)のほか、新湊・氷見・滑川など漁港のある町。ホタルイカの県を代表する水揚げ地は滑川漁港です。「ひみ寒ぶり」は宣言期間中に氷見漁港で競られた7kg以上のブリで、1本ごとに販売証明書が発行されます。
- 注意点:厚生労働省の通知により、生食用のホタルイカは内臓を除去するか、−30℃で4日間以上/中心温度−35℃で15時間以上/−40℃で40分以上のいずれかの凍結処理を行うこととされています。生食用以外は沸騰水に投入後30秒以上、または中心温度60℃以上の加熱が必要です。内臓ごと生で食べると旋尾線虫幼虫移行症のおそれがあるため、浜辺で自分ですくったホタルイカをそのまま生食するのは絶対に避けてください。春先の海岸でのホタルイカすくいは、夜間の暗い岸壁で足元が滑りやすく転落の危険があります。ライフジャケット・ヘッドライトを用意し、単独行動は避けましょう。
※個店の営業時間・料金は店舗により異なります。
(出典:富山県公式観光サイト「とやま観光ナビ」、厚生労働省「生食用ホタルイカの取扱いについて」(平成12年6月21日 衛食第110号・衛乳第125号))
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