草津温泉・湯もみ体験|群馬県 300年続く温泉文化ガイド
「湯もみ」は、群馬県の名湯・草津温泉(くさつおんせん)に江戸時代から伝わる独自の入浴文化です。草津の源泉は50度を超えるほど高温なうえ、湯の効能を損なわないため水でうめずに温度を下げる必要がありました。そこで生まれたのが、長い板で湯をかき混ぜて空気に触れさせ、湯温を下げる「湯もみ」です。湯もみ唄に合わせて板を操る伝統の光景は、今や草津温泉を象徴する名物のひとつ。日本有数の自然湧出量を誇る草津ならではの、知恵と文化が息づいています。
高温の名湯を冷ます知恵
草津温泉が「湯もみ」という独自の文化を育んだのは、その湯がきわめて高温で、酸性が強く効能豊かであることに理由があります。貴重な源泉の成分をそのまま生かすため、水を加えずに湯温を下げる工夫として湯もみが考案されました。約1.8メートルの大きな板を使い、大勢で息を合わせて湯をかき混ぜることで、熱い湯が適温へと変わっていきます。先人たちが名湯を最大限に生かそうとした知恵が、今も伝統として大切に受け継がれているのです。
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湯長の号令で入る「伝統湯」
湯もみは、単独の作法として生まれたわけではありません。熱乃湯公式サイトによれば、草津には江戸時代より、湯を冷ます「湯もみ」とあわせて、高温の湯をなるべく動かさぬよう皆で同時に入り、同時に上がるという集団入浴法がありました。明治に入ると、これが「伝統湯」という入浴法として確立します。
その手順は独特です。入浴前にまず湯もみを行い、のぼせを防ぐために手桶で頭に30杯以上の湯をかぶる。そして湯長(ゆちょう)の号令で一斉に入湯し、きっかり3分間。同じく号令で一斉に上がる。これを1日4回繰り返す——という、修行のような入浴法でした。最盛期には6か所の浴場で行われており、熱乃湯でも昭和32年まで実際に行われていたといいます。現在は「千代の湯」で受け継がれています。
湯もみに使う板は約180センチ。公式サイトによれば、湯もみには温度を下げるだけでなく、湯を柔らかくする効果や、入浴前の準備運動としての意味もあるとされます。ただ熱を逃がすための作業ではなく、熱い湯にきちんと向き合うための一連の作法だった、というわけです。
湯もみ唄「チョイナチョイナ」
湯もみのとき、調子を取るために歌われるのが「草津湯もみ唄」です。草津温泉を代表する民謡は草津節(ドッコイショ)、草津湯もみ唄(ヨホホイ)、草津小唄(ヨイトサノサ)の3種類があり、これらを総じて湯もみ唄と呼びます。
草津節はその時々にさまざまな歌詞が付けられて歌われてきましたが、今の原形をつくったのは、大正7年に草津を訪れた平井晩村。草津小唄のほうは昭和3年に相馬御風作詞、中山晋平作曲でつくられました。掛け声の「チョイナチョイナ」が館内に響くと、板を操る動きと唄の拍がぴたりと合い、見ているだけで体が揺れてきます。
熱乃湯の歩みと、ショーの流れ
湯もみショーが始まったのは1960年(昭和35年)のこと。熱乃湯も観光施設として1968年(昭和43年)に建て替えられ、この建物は2014年(平成26年)まで46年もの長きにわたって多くの人に親しまれました。伝統湯の様子を描いた木版画を題材にしたステンドグラス風の入場口は、夜になると内側からライトアップされ、撮影スポットとして人気を集めたといいます。そして2015年4月、熱乃湯は大正ロマン風の建物へと生まれ変わりました。光あふれる館内は2階建ての吹き抜けで、木の香りが漂います。
「湯もみと踊り」ショーのプログラムは4部構成です。
1. オープニングムービー 2. 踊り【草津節】 3. 湯もみの実演【草津節】 4. 踊りと湯もみ【草津湯もみ唄】
見どころは、なんといっても3番目の湯もみの実演。揃いの衣装の担い手が長い板を湯に差し入れ、唄に合わせて力強く前後させると、湯面が波打ち、湯気が一気に立ちのぼります。鑑賞のコツは、開演の30分前から始まるチケット販売に合わせて早めに並ぶこと。座席は自由に選べるので、湯気と唄声を間近で浴びたいなら前方の席が有利です。湯畑を散策してから公演時刻に合わせて入るなど、時間を決めて動くと無駄がありません。
湯もみと踊りのショー「熱乃湯」
草津温泉の中心、湯畑(ゆばたけ)のすぐそばにある「熱乃湯(ねつのゆ)」では、伝統の湯もみを再現したショーを楽しむことができます。草津節や湯もみ唄の唄声に合わせて、揃いの衣装をまとった女性たちが息を合わせて板を動かす光景は、活気にあふれ見ごたえ十分。観客が実際に湯もみを体験できる時間も設けられており、旅の思い出づくりにぴったりです。草津に伝わる湯文化を、楽しく学び体感できる人気のスポットとなっています。
ベストシーズンとアクセス
湯もみショーは「熱乃湯」で一年を通して開催されているため、季節を問わず楽しめます。草津温泉自体は、雪見風呂が楽しめる冬や、高原が涼しい夏など、四季それぞれに魅力があります。アクセスはJR吾妻線(あがつません)「長野原草津口駅」からバスで約25分ほど。温泉街の中心・湯畑周辺は徒歩で散策でき、熱乃湯もそのすぐ近くにあります。日本を代表する名湯と、三百年続く伝統の湯文化を一度に味わえる、草津ならではの旅を満喫しましょう。
訪問の実用情報
- 施設名・住所:熱乃湯(〒377-1711 群馬県吾妻郡草津町草津414)
- 「湯もみと踊り」ショーの公演時刻(1日6回)
- 3月〜11月:9:30/10:00/10:30/15:30/16:00/16:30
- 12月〜2月:10:00/10:30/11:00/15:30/16:00/16:30
- 年間を通じて毎日営業していますが、メンテナンスやイベントで臨時休演になることがあります
- 観覧料:大人700円/小学生350円(税込)。障害者手帳の提示で本人と付き添い1名が半額
- チケット:予約はできません。各公演の30分前から会場の販売所で当日券のみ販売されます。支払いは現金またはPayPayのみ(クレジットカード・その他のQR決済は使えません)。人気の回は早めに並んでおくと安心です
- 湯もみ体験:毎週日曜・月曜 11:30〜13:00(最終受付12:50)、小学生以上300円(税込)。こちらも予約不可・現金またはPayPayのみ。実際に湯もみ板を手にできるのはこの2日間だけなので、体験目当てなら曜日を合わせて訪れてください
- アクセス:湯畑観光駐車場から徒歩5分/草津温泉バスターミナルから徒歩5分/西の河原公園駐車場から徒歩10分
- 駐車場:熱乃湯の専用駐車場はありません。湯畑観光駐車場(TEL 0279-88-2704)または西の河原公園駐車場を利用してください
- 問い合わせ:熱乃湯 TEL 0279-88-3613(受付8:30〜17:00)/草津温泉観光協会 TEL 0279-88-0800
(出典:草津温泉 熱乃湯 公式サイト)
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